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□陛下と愉快な下僕達 〜性転換〜
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さてここはお馴染み屋敷内。お馴染み陛下と下僕達がやいのやいの騒いでいるのだが、なんかちょっと、ほんの少しだけ、様子が違う。

「ねぇ愁、陛下どこだか知ってる?ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ、どこ捜しても見付からなくて」

そう隣にいる者の腕を取って聞いたのは、茶色がかった黒髪を肩甲骨の半ばまで伸ばした少女。目の下には薄いが隈があり、色白な肌と相まって何だか不健康な感じを醸し出している。しかし身に纏う衣服はシンプルかつ桜色や白を基調とした可愛らしいものであり、その不健康なイメージを払拭するのには充分すぎる程であった。

「…陛下?僕は知らないけど。いきなりどうしたんだよ、柚にしては珍しいな」

先程の少女、柚(ユズ)にしがみつかれた少年が不思議そうに返答する。会話を聞く限り、愁(シュウ)という名前のようだ。染み一つ無い黒髪を心持ち長めにカットした、痩せ型の平均身長。黒のワイシャツとスラックスに、これまた真っ黒なロングコートを合わせてネクタイは真っ白、という実に特徴的な外見をしている。

「あ、陛下なら私書斎で見たよ。なんか凄く真剣に薄い本読んでたけど」

いちゃつく二人(ただし一方的)を見て朗らかに笑う少女、藍(アイ)。艶のある黒髪を腰まで伸ばし、そのかなり良い方であろうプロポーションを惜しげもなく晒す少々露出多目の服を身に付けている。白いタンクトップに、黒のホットパンツ。なんかポケモンBWの女主人公みたいだなオイ。

「書斎かぁー…。柚達はともかく、僕陛下まで辿り着ける自信が無いんだけど」

苦笑いをする愁に、依然しがみついたままの柚が笑う。

「大丈夫、愁はうちらが引っ張ってくから!ねぇ藍?」

「うん、まぁ私は愁に触ったら柚の鉄拳制裁を受けるんだろうけどね」

「流石のうちでも触っただけじゃやらないよー」

あはははは、と可愛らしく笑う女子二人を前にして、本来なら和むはずのポジションである愁はひきつった笑いを浮かべていた。

(柚…いつの間にそんなこと考えてたんだ……?怖くて今まで通りに藍と接することが出来ないじゃないか)

恋する女子って恐い、身を以てそれを学んだ愁であった。



続きます。
一応説明すると、柚=悠、愁=春、藍=和です。
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