loss of memory2

□私の罪は何?
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今のジェイムスは自分の過ちを無かった事にしようとする事で頭がいっぱいなのだ

彼の罪は 彼女を殺したこと

彼女が生き返れば 自分は罪から逃れ幸せになれる そして メアリーとの約束も守る事が出来る
そして 全てがうまくいく
……そんな事有り得ない

彼はあの時 もう同じ過ちは繰り返さないと心に誓ったはずなのに……


『こんな事になったのは 全部ヴァルのせい何だからね!!』

「私に八つ当たりをするな

彼は幾度となく儀式を失敗し続けてきた そのたびに罪の意識を感じていたのだ
いつかはあの赤い三角頭に…いや、自分のうみだした恐怖概念に押し潰され死ぬだろう」

『そっちの方が幸せだと思うよ』

「死が幸せか 面白い事をいう
人間の唯一克服の出来ない恐怖を味わうのがジェイムスの幸せとでもいうのか」
彼は独りでは生きていけない 近くにメアリーが居ないと死んでしまう
夢に縛られ 見つからないものを一生探し続けるのと潔く死を選ぶのだったら 後者の方がずっと楽だ

誰かが言ってた
生は死よりも苦しいものだって…

『幸せとは言わないかもしれないけど
苦しく無くなるのは本当だよ』

「まぁ 今更どう足掻こうとも
彼が幸せになる方法などどこにもない
それなら 少しの間だけでも幸せな夢を見させてあげようじゃないか
な? リエ?」

『………』


もう 疲れた
彼を見ているのも ヴァルと話しているのも…

『私もう帰る』

私の住処は、表の世界 裏の世界 どちらでも鍵があきっぱなしという こっちの世界では珍しい部屋だ
ジェイムスと関わった事によって 以前よりも裏と表の切り替えの頻度が高くなってしまい この部屋にうつることを余儀なくされたのだった
この部屋にする前は閉じ込められ身動きが取れなくなることがあったのだが 今はそんな心配は無い

たまにヴァルが侵入する事もあるのだが…特に気にならないのでほっておいてる
帰り道 私は何者かに付けられている

ヴァルでは無いだろう 彼は足音をたてずに近寄ってくるのだから

足音的には結構体の大きめの何かだ
この世界で大きい生き物といったら大体絞れるのだが……
私にはストーカーされる心当たりが全くない

私は振り向く事なく 後ろの何かに話しかけてみる

『誰? 私に何か用?』

「………」

返事はない 少しも立ち止まる素振りを見せずに後ろの歩調はスピードをあげていく
耐えれなくなった私は 思いっきり振り返った
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