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□燐くんがテストをひかえているようです。
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「ふわぁぁ…暇だな…」
ここ最近ベットに寝転がり、だらだらと過ごす毎日をおくっている燐は、今日もまたいつも通りだらだらと過ごしていた。
「んー…。あ、雪男SQ貸してー。」
燐はごろん、と寝返りをうって、必死に机にむかっている弟に話を振ってみる。
「…嫌だよ僕もまだ読んでないし……ていうか兄さん、勉強もしないでずいぶん余裕そうだよね」
「まぁな。でも俺が勉強しないのなんて今に始まったことじゃないだろ?」
「そんな誇らしげに言われても…。一応僕も兄さんの先生なんだからさ、少しは罪悪感とか感じてよ」
「おぅ、悪かったな!」
「絶対思ってないだろ…」
雪男はため息をつきながら髪をかきあげた。その仕草は15歳ながら大人顔負けの色っぽさがあり、そういう部分に関してさすがは雪男、と言うべきだろうか。
一方、兄の燐はそんな雪男に愛されたたった一人の人物であり、同時に弟である雪男とはいわゆる恋仲という関係である。
その燐もまた、雪男に魅せられた人間の一人だ。
(……ったく雪男のやつ、どんどん色気が増しやがる…)
「……………からテストがあって、…って聞いてるの兄さん!兄さん!?」
「えっ…そそそそうだよなうん、テストだよな!あっははは!わかってるって!」
あぁ、そういえばそうだった。ほんとのところ雪男に言われるまですっかり忘れていた。明後日の今頃、俺達聖十字学園の生徒はテストに苦しめられているんだ。
燐は、目の前の紙切れに翻弄され、鉛筆を転がし続ける自分の姿を想像すると、ゾクッと悪寒が走った。
そんな兄を横目に、弟の雪男はペンを走らせながら問う。
「わかってるならいいんだけど…。で、やったの?」
「お、おう!!もちろん!!(もちろんやってない、のもちろんだけどな…)」
「……はぁ。兄さん、このあいだ僕がいったこと、覚えてる?」
「え?」
「忘れたとは言わせないよ?夏休みの前に僕と約束、してくれたよね?」
「……っ!」
その言葉を聞いた瞬間、燐は顔を真っ赤にし、尻尾をぴんっと立てて体を硬直させた。
(そうだった、約束のことを忘れてた…!)
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