Poem

□深紅
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真白な薔薇の花を
散らそうとした
薔薇は散らされまいと
棘をさした…
深紅に濡れる掌が
燃えるように熱い



滴る深紅の雫を
ワイングラスに溜めて
揺れる水面は
鏡のように心を映した
黒の感情が雫と共に
グラスに波紋を描く
私は、一気にそれを…
飲み干した




唇を深紅が濡らして
まるで、ルージュのように光る…
深紅の雫が乾けば
黒の感情が浮かび上がる
【ワタシハ ミニクイ ソンザイ ナノ?】
そう唇が動いた気がした



感情のない瞳から
雫が流れだした
それは深紅と混ざりあい
白に染まっていった
【ワタシハ ココニイテ イイノ?】
答えはとうに出てるはず




深紅の雫に唇を寄せて
舌で掬ってみる
鉄の香りと薔薇の香りが
混ざりあっていた
だけど、懐かしい香りがする…
深紅は私にも流れてる

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