novel

□高校教師【前編】
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この春、晴れて高校教師になったユイ。担当科目は音楽。


仕事にもようやく慣れてきたある夏の日…。


授業も終わり教室を片づけていると、二人の男子生徒、春馬と弘樹がドアを開けて入ってきた。


「せんせーい」


「あれ、どうしたの?」


「あっ先生、今日はもう帰んの?じゃあ俺らと遊びに行こうよ〜」


大学を出てすぐ教師になったので年がそう離れていないため、ユイはよくこんな風にからかわれていた。


「あはは。早く部活に行きなさいよ」


軽く流したが二人はなかなかのイケメンで、ユイは、自分がもう少し若かったらなぁ、なんて考えてしまっていた。


考えながら二人に背を向け、楽譜を棚になおそうとしていた。すると…


突然、後ろから抱きつかれた。


「きゃっっ!」


驚いて振り返るユイ。


抱きついているのは春馬だった。身長160センチ弱のユイをすっかり覆ってしまうほどに背が高かった。


「先生〜、知ってんだよ?数学の小出先生とデキてんでしょ?こないだ、放課後ここで会ってるの見ちゃったんだよね〜」

「!」


ユイの耳に息を吹きかけながら、春馬は楽しげに、意地悪く言った。

確かに小出先生とこないだ音楽教室で会っていた。しかも口説かれていた…。


「ちっちがうわよっ。小出先生とは別に何でもないの!」


小出先生に好意はあるものの、同じ学校内ということもあり、交際することに迷いがあった。


「ごまかしても無駄だよ。抱きしめられてたじゃん。学校内でそんなことしていいわけ?ユイちゃん?」


「!」


ユイはどうしていいかわからなかった。抱きしめられたのは事実だし、どう否定したらいいのか…。

横を見ると、弘樹が楽しそうにニヤニヤしていた。


春馬「ねぇ、ユイちゃん」

春馬が耳元で甘くささやいた。とても高校生とは思えない。かなり女慣れしているようだ。


春馬「黙っててあげてもいいけど…、そのかわり小出とは別れてよ?」


「え…?」


付き合っていないんだけど…と思いつつ、尚も否定しにくくて黙っていた。


春馬「小出みたいな顔だけのしょうもなさそうな男に渡さねぇよ」


そう言うと、春馬はユイを後ろから抱きしめたまま、ユイの顎をぐいっと引き寄せキスをした。


「ンッ!」


強引に舌をねじ込まれ、いやらしく舌を絡ませてくる。

後ろから強く抱きしめられ、動物的なほど激しく舌を出し入れされる。強引でどこか情熱的なキスに、ユイは腰の力が抜け、今からの展開に不安と期待を抱いていた…。



つづく

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