夢・・・

□新しい世界
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「薫かっこいいー…」

うっとりと、テレビに噛り付く私に苦笑いをしながら、その人はキッチンへと消えていく。

「はぁ…やっぱり、かっこいいよー…」

何度も何度も、ビデオを巻き戻してはテレビに噛り付く。

「何回見れば、気が済むわけ?」

「何回見ても、気が済まないよー。」

戻ってきたその人は、コーヒーカップを二つ手に、戻ってきてソファーに腰を降ろす。

「なに?やきもちやいてんのぅ?」

「べつに。」

眉間に皺をよせて、笑うとコーヒーを一口飲む。

この目の前にいる、年上の彼はいったい私の事をどう思ってくれてるんだろう?

こんなに、一緒に居てただの『妹的な存在』とかだったら嫌だなぁ…。

この人に出会って、私の世界に色がついた。

私もこの人に、みた事もない世界を見せてあげたい。『誰か』じゃなくて、私が。

『誰かに』じゃなくて貴方に。

好きだよ。大好き。貴方が大切です。

テレビの電源を消して、ソファーに座る彼にそっと近づいて…それから…一瞬だけ唇を合わせる。

驚いた様に、貴方の目が見開かれて、たじろぐ。

「ご…ごめんなさい。」

なんて、何てコトしちゃったんだろう。

「……なん・で……謝るの?」

驚いた表情がすうっと消えて、優しく微笑まれる。

「……だ・・って……」

「泣くなよー…」

そっと、引き寄せられて、腕の中に収まってしまう。

いままで、今までこんな風に抱きしめられた事なんてないよ…。

「ごめんな…今ごろ気付いた俺…ヒロはテレビの中の俺が好きなんだって思ってた。」

ちがうよ、テレビの中の貴方の方が私を見てくれているような気がしていたから…。

「淋しいなんて、全然わかんなかった。ごめんな?」

「謝らないで…よ…。」

私の言葉に小さく首を振る。それから、彼の唇から紡がれたのは私が一番欲しかった言葉。

「…好きだよ。」
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ごめんなさい、ラブラブで切な系は結構難しゅうございました。(汗)もっと、精進いたしますっ。

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