白昼夢

□いつかは
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今は、まだ判らないけれど。




そういえば、いつも俺はそうやって歩いてきたように思う。
例えば、仕事で企画してアレンジして、そしてプレゼンって……。
他人に任せられないんだ。

ここまでは自分。
ここまでは、誰かに。

とか、出来なくてただただ自分で練り上げて組み立てて。
そして、どうだっ!って見せたいんだ。
誰かに任せれば、きっと文句言いたくなって、文句を言ったら言ったで、文句言ってる自分が嫌になってきて、そして、落ち込むんだ。

そんな事で落ち込むくらいなら、自分でやってうまくいかなくて、落ち込むほうがマシだって思ってた。

ずっと、それこそ15年。

もっとかな?

でも、この間あいつに言われて少しだけ。
うん、少しだけなんだけど考え方を改めるって言うか、改めなきゃな…って思うようになってて自分でも少し驚いた。


自分は随分、頑固な男だと思っている。
完璧主義というか、潔癖というか。

部屋は散らかってて、それこそ彼女との約束だとかルールだとかなんかいい加減で愛想つかされても仕方ないくらいだし、時間にも結構ルーズで若い頃はそれで随分失敗したけど、でもやっぱり俺は完璧主義だといえるんだと思う。

やるなら手を抜きたくないし、手を抜けない。
「なんとなく、こんな感じ」とか、そんな曖昧なのは嫌だ。
「ここのところはこのリズムで、こういう声で」明確な表現で駄目ならやり直せばいい。

でも、そういうのもその時のそいつのフィーリングとか、成り行きとかそういうのを信じて偶然じゃないと出来ない何かを待つことも大切なんだって言うのもちょっと感じるようになってきている。
それも、やっぱりこの間あいつに言われてからかもしれない。

わかっているんだ、こうやってなんとなく、自分の事を話しながら俺は肝心なことを避けているんだ。
ただ、逃げているだけなのかもしれない。
15年。
それは、区切りだと思う。

自分が自分のために、それからみんなの為にどうするか。
変えていくところ、このまま貫かなければいけないところ。
目標の再確認と新たな目標の再設定。

それぞれ、個々の活動を増えてきてはいるし、これだけ人数のいるグループならそれぞれの目指すものや、深めていきたい分野だって相違があって然るべきだ。
ましてや、そういう違いがグループに深みを持たせるんだと俺は思っているんだけど……。

そうだ、やっぱり好きなんだと思う。
俺は、みんなが好きだし。
みんなじゃないと、この先やっていけないんじゃないかと思っているくらいだ。
恋人や家族より長くて濃い時間を過ごす特別な存在。


大切な敬愛すべき奴らだ。


でも、そんなの照れくさいだろ?
言えるか?
言えるわけない。
恋人にだって、そんなことしょっちゅう言えないのに。
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