夢もよう
□9月10月
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気がつくと、空が随分高くなっていて
青々としていた緑も僅かながらに色付いている。
夏が過ぎるのは、何故だか物悲しい。
君が居ないから……かも知れない。
あの日。
短い夏休みを終え、君は少し淋しそうに笑うと
「サヨウナラ、またね。また、会えるといいね」
そう言った。
「絶対、会いに来る。」
電車の発車を報せるベル、行き交う雑踏。
「だから」
待ってて。
と、言おうとしたとき虚しくドアが僕たちを隔てていた。
あれから、二年。
君に会いに行けていない。
ルーズな別れは、何時までも気持ちを引きずってしまう。
僕がそうなように、君もそうであればいいのにと、ちょっと意地悪かな?
幸せであってほしい。
幸せにするのは僕でありたい。
でも、もう怖くて会いに行けないんだ。
君が……、幸せそうだと僕はどう思うだろうかと怖いんだ。
君をまだ愛している。
君をまだ愛しているんだ。
清々しい風が虚しく、僕の隣を吹き抜ける。
空が高い。
夏の終わりは何故こんなに物悲しいんだろう?