ホラー

□叩いてる
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「ねえ、…今夜家に泊まらない?」





そう言って来たのは隣の席に座る友人の愛。あくまでも友人でしいて言うなら親友に近い仲だけど、決して家に泊まりに行くような仲ではない。俺は思わず持っていたシャーペンを床に落とした。





「お、おおお前何言ってんだよ!」

「別にやらしい意味じゃないよ」





焦る俺とは対照的に愛は俺が落としたペンを静かに拾い上げる。信じてくれないと思うけどね、と前置きをして口を開く。





「…幽霊がね、出るんだ」

「……は、幽霊?」





何言ってんだコイツ、って思ったけど愛は真剣な顔してるから直には言えなくて。とりあえず話だけでも聞いてやることにした。





「具体的にどんな幽霊なんだ?」

「私の家がマンションだって前に言ったでしょ?」

「ああ。7階だろ」

「毎晩0時きっかりに階段を1段ずつ昇ってくるの。そして今日ちょうど家の前に来るはず」





両親は一昨日から旅行に行ってて帰って来るのは明後日らしい。昨日はまだ耐えられたけど、さすがに今日は怖いから俺に頼んだと。


ちょっと面白そうだと思った俺は泊まりに行くことを了承した。そしたら愛、嬉しそうに笑いやがんの。俺まで釣られて笑っちまった。



そんでその日の夜、他愛の無い話やテレビを見たり、格ゲーしたりして遊んでた。そんで、23時半くらいになって幽霊の話を始めた。





「なぁ、幽霊が階段を昇って来るってどういうことだ?」

「…2週間くらい前から、家の前の階段を昇って来る足音がして。でも私にしか聞こえてない。両親に言っても、そんな音は聞こえないって言うの」

「んで、今日昇りきるっていうのか?」

「うん、家までの階段を数えたから間違いない。確かに今日、家の前に来る」

「通り過ぎるってことはないのかよ。まだ上もあるだろ?」

「それも考えられるけど、もしかしたら家に来るかもしれない。それが怖いの」

「ふーん…」



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