短編

□霞の魔女
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あと少し、あと少しで彼が助かると思えばボロボロになった服も肌を切っていく草むらも全身を刺す様な痛みも気にならなかった
ようやく森の中から出ればそこには小さな山小屋が見える
ようやく見つけた幻の魔女の家
「あった…」
「おや、お客さん?」
思わず呟くと山小屋の中から綺麗な女の人が出てきた
「あの…霞の魔女さんですか?」
霞の魔女とは不老不死の薬をこの世でただ一人作れるという伝説の女性だ
「なーんだ、せっかく久しぶりにムサイ男どもじゃなくて女の子が来たかと思えば君も不老不死の薬を探しに来たバカか」
「バカって何ですか」
「バカはバカだよ。不老不死の薬なんてものはこの世にありはしない」
「じゃあ、じゃあ不老不死の薬の材料って言われるどんな病も治せるキノコもないんですか?」
「ああ、ないね」
「嘘…ユージスが助かるのに、それがあったらユージスが助かると思ってたのに」
少女の足は限界にあったこともあり唯一の希望が絶たれたと知った瞬間思わず座りこんでしまった
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