短編

□月に照らされし影2
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帝国ルナールの帝都シアンの帝王が住んでいる城は城壁を隔てて有能な宰相が周りに住んでいた

ヒルドイド卿の邸宅もそこにある

人を殺し真っ赤に染まった少年と少女

音もなく闇から現れた

高い城壁を物ともせず飛び越えヒルドイド卿の邸宅に忍び込む

広い庭にポツンとある小さな小屋

二人は小屋に入り武器とコートを直す

使われない暖炉の中に入れば隠し階段があった

階段を降り進めばそこにあるは豪華な部屋

満月を見ながらワインを飲む男

この男がヒルドイド卿、ディオン・アンタジュー・ヒルドイドであり二人を使って人を殺している黒幕である

「ディオン様本日も守備よく終わりました」
少年と少女は膝をつきディオンに報告する

「誰にも見られなかっただろうな」

「はい、大丈夫でございます」

「ご苦労だった、コレが次の満月までに消す者たちのリストだ」

そう言って紙の束を投げる

その数は13人

ディオンは顔色一つ変えずに命じ二人の顔には何の感情も浮かんでない

「はい、わかりました」

「では失礼します」

そう言って二人は部屋を出る

小屋に戻りまた音もなく邸宅の中に入った
彼らは普段は執事とメイドとして働いていた

そもそもなぜ彼らは殺すのだろうか

少年の名をシュアノス・シェイズ・ファーシル、通称シュノ

少女の名をミージェス・ユリア・ファーシル、通称ミュゲ

そういい彼らは兄妹であった

ファーシル一族は高い戦闘力をもつ民族で暗殺一族であった

兄妹のように主人を持つこともあれば依頼により殺す事もある

ヒルドイド卿は兄妹を使い気に入らない人物やライバルを消してきた

兄妹はそれがどういうことなのかを未だに知らずにいた

ただ誰かを消した日の月は赤く見える

それだけを知っていた

今日も満月は赤く染まっている…

fin

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