短編

□貴方の最後の願いを叶えます
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あぁ寝過ごした

そう思って目を覚ますと俺は白い部屋にいました

そこは何もかもが白い世界

白くないのは自分と白い服を着た少女

ここはどこだい?

少女にそう問いかけると少女はこう答えた

ここは死の世界、あなたはもう死んだのです

そう言われてそうなのかと冷静に受け止める自分がいた

ふむ、そうなると君は天使か?

俺はまた少女に問いかけた

いいえ私は死神です。あなたの最後の願いを叶えに来ました

自称死神少女は俺の最後の願いを叶えてくれるらしい

じゃあ一面の花畑に連れて行ってくれ

俺はそう願った

花畑ですね、わかりました

少女はうなずくと指を鳴らした

パチン

その瞬間、俺と少女は一面の花畑にいた

あぁ俺はこれが見たかった

小さい頃に見た風景画の世界に立っていた

小さい頃に見た風景画に描いてある一面の花畑を見るのが俺の夢だった

ふと俺は少女に話したいことができた

なぁ俺の死因を知っているか?

俺は少女にそう問いかけた

いえそれは天使の管轄なので知りません

なんと死神と天使で仕事が違うらしい

そうか、俺は殺されたんだよ

誰かに恨まれていたのですか?
恨まれたのかねぇ、彼女の浮気相手に刺されたんだよ

俺自身はその彼女と別れるつもりだったが彼女は浮気相手と別れようとしていたらしい

浮気相手は俺がいなくなれば彼女とまた付き合えると思っていたのだろう

そう考えると恨まれていたのかなぁ

そうですか、波乱万丈な死に方ですね

俺の思考を読んだかのように少女は答えた

うしっ、次に生まれたらもうちょっとましな死に方をしたいもんだ

そう言ってニヤリと笑った

そろそろいいですか

少女が声をかける

あぁ夢が叶って良かったよ

そうですか、それではまた良き人生を…

少女のその言葉を最後に俺の意識は薄れていった

最後に見たのは満開の花と泣きそうな少女の顔だった


fin
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