D2−天を仰ぐ−


□第八話 第二部の始まりでございます
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変だ、と言われた




そんなこと...自分でもわかってた

みんなと違うことぐらい


















もう何年前のことだろうか




その頃の俺は 自分にはある変な力の制御ができてなかった







そのせいで 気を抜くとすぐに

変な模様が目に浮かんでしまう




















血の色みたい って、誰かが言ったっけ







そう言われる度に俺は部屋に閉じこもって

泣いた

















親は共働きで二人とも家にいることがほとんどなかった




二週間にもわたって帰ってこないこともあった









だから




顔に似合わずしっかり者の兄は

炊事 洗濯 掃除...











俺と二つしか違わないのに

とにかく家事全般を何でもやるようになっていった


















俺が度々部屋で泣いていることを知ってからは

「今日なぁ偶然お笑いのDVDを友達に借りてきてん。一緒にみぃひん??♪」

とか

「見てー!!カブトムシ捕まえてん!!なんかこのへんゴキブリみたいじゃない?ww」

とか

「秀亜ー!!・・・暴走した掃除機のマネ(笑」

とか



しょっちゅう部屋に入ってきては

バカみたいな、おもしろい話をしてた














泣いてる俺を 慰めるでもなく、ただ

ずっと ずっと バカな話、してた





何もきかないでいてくれた











そんなところが兄キらしい って、




後になって思った
















昔の俺は泣き虫で...

そのうち、泣いてる顔を見られるのが恥ずかしい って

思うようになった







泣かなければいいのに

でも涙は、そんな俺の思いを無視していつも勝手にでる...

泣かない なんてできなかった














それからは

誰にも、兄キにも

見られないように わからないように

布団を深くかぶって泣いた

泣き疲れたらそのまま寝た
















嗚呼 そうか










寝てしまえばいいんだ







そうすれば、誰にも泣き顔を見られないで済む














学校でも どこでも

机に突っ伏して寝てれば










誰に、何を言われても

聞かなくて済む











泣いたってバレない











寝よう

寝てしまおう











たくさん寝れば それだけ

その時間は泣かなくていい



















眠たくなくても

寝なくちゃ

寝なくちゃ








もう 悪口聞かないようにするために




いつもみんなからかばってくれた兄キが

傷つかなくても済むように



















兄キは大変だった って知ってる

家のこと 全部やらなくちゃいけなかったから

でも俺は 手伝えなかったから

俺はそんな兄キに 甘えてばかりだったから

















だから









だから 俺は...















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