access to ACCESS

□Destiny in the Name of Destiny
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11月19日――――――
「だいちゃん、長旅ご苦労さま〜♪なかなか電話かけられなくてゴメンね!」
携帯から聞こえる彼の声が懐かしくて。
『もー、僕、時差ボケ・ぼっけぼけだよぉ。』
仕事で行っていたヨーロッパから帰ったばかりで時差ボケがなかなか抜けない。
でも今話している愛しい彼の声を聞いて、少し目が覚めた。愛のチカラって凄い。
「折角帰ってきたのに、舞台の稽古で逢えなくって、ごめんね。」
申し訳なさそうに彼が言う。そんなこと気にすることないのに。
『別に大丈夫だよぉ、僕も時差ボケ直して、早く仕事に復帰しなきゃいけないし…。』
「だいちゃんってば、ホント、ワーカホリックだよね。」
『うん、まあ、そうなのかな。』
って言うか好きだからやってるんだけど。
「ところで、26日は、稽古早めに切り上げるから、絶対逢おうね。」
覚えててくれたんだ。僕たちの記念日。
『うん。僕も仕事早くかたして、待ってるから。』
「じゃあ、だいちゃん暫らくはゆっくりして体調戻すんだよ?」
優しい彼の言葉。困った、早く逢いたくなる。
『うん、ありがと。ヒロも体調崩さないでね。』
「ありがと、だいちゃん。…じゃあ、26日に。」
『うん。楽しみにしてる。じゃあね。』
幸せいっぱいな気持ちで通話を切った。

26日。
それは記念日。
それは僕たちが18年前にaccessを結成した日だ。偶然手にした、ヒロのサンプルCDを聴かなければ、今のaccessは無かったといえる。
ヒロは年明けから始まる「銀英伝」の稽古で大忙し。
そして、元旦ライヴの打ち合せや取材とかも入ってくる。

そう、accessを結成して、丸18年が経とうとしてる。
途中7年間の沈黙が有ったけど、一度離れてみてお互いが、どんなに必要か、どんなにヒロの事を想ってるかを思い知らされた、そんな年月だった。
でも、今はこうやって、好きで好きで堪らなくって、それを受けとめてくれる彼がいる。
天の邪鬼な僕に、沢山の愛をくれる彼がいる。
こんな出逢いなんて、神様が決めてくれた様…。

早く逢いたい。逢いたくて逢いたくて仕方がない。
こんなにも人を愛せる自分がいるのは彼のお陰なんだ。



11月26日――――――
とある番組の打ち込みを終えて帰途に着く。
途中、行きつけのワインのお店に寄り、1992年のワインを探す。
accessが復活してから、必ず、デビュー年のワインを買ってお祝いするようにしている。
色々と手に取り、お店の方にアドバイスしてもらいなが、赤ワインと貴腐ワインを手に取った。
それに合いそうなチーズも調達する。
お祝い用のパッケージにしてもらい、お店を後にする。
ワイン好きなヒロに影響されて、自分でもよく買いに来るようになった。

ここでヒロに連絡。
携帯から“ヒロ”の文字を探す。
ぷるるるる・・・
8回目のコールでヒロの携帯に繋がる。
「はい、だいちゃん♪」
『あ、ヒロ?この間は誕生日プレゼントありがとね!ちょっとだけど、久々に逢えて嬉しかったそれと、ワインの用意が出来てるよ。稽古はまだ続くの?』
「愛しいだいちゃんの為なら稽古はあと一時間くらい。終わったらすぐに行くから。」
『ヒロが着く前に用意しておくからね!』
「りょうか〜い♪」
『うん、待ってるね。』
と通話を切った。
そうして、再び車に乗り込み、家路についた。


ワイングラスとソムリエナイフ、チーズをテーブルにきちんと置いていく。
袋から記念日用にパッケージして貰ったワインも、赤の薄紙をそれらしく敷いて籠の中に置きリビングのソファに座る。
腕時計を見ると、予定の時間を少し回っていた。遅くなるのかな…。


唇にキスをされた感触で、、僕は目が覚めた。ヒロのいい香がする。
まだまだ時差ボケを乗り切ってない僕は、またもや、巨大ミッキーを抱き締めて寝てたみたいだ。
瞳に、優しくはにかんだように微笑む、ヒロがいた。
僕はこの顔が、表情が、堪らなく好きだ。
『稽古が長引いちゃってゴメンね。』
『キスで起こすなんて反則だよ…次は普通に起こして。』
でも嬉しかった。顔が緩んでくる。
『だって寝ているだいちゃん、無防備で可愛いんだもの。罪だよ、罪。』
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