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□ボクのお隣さん
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ボクが、大事なお隣さんの横に住みだして早3年になる。
今日は朝10時からお仕事だって聞いていたのに、まだ起きた気配がない。もうすぐ9時だぜ。
お隣さんは遅刻魔なんだ。
『んっ、もう、仕方ないなぁ。』
携帯から「ヒロ」の番号を出し、電話する。
プルルルル・・・
十何回目のコールで繋がった・・・と思ったら、
「只今電話に出られません・・・」
な、なんだとぉ!?
信じられない!ボクの電話を切るなんて!!
無視してやろうかと思ったけど、スタッフさんの苦労を考えて、気を取り直す。
もう一度、コール。
今度は7コール目に出た。
即座に
『バカヒロ!!お仕事の時間だよ!それに、さっきは切りやがって・・・』
最後まで言うか言わないかの途中で、
『ごめんね、ごめんね、大ちゃん。いつもありがとう。チュッ』
と電話を切ってしまった。
隣での部屋でバタバタ、ガタガタやかましい音が一通りした後、静かになった。
今回だけは一言言ってやろうと、ドアを開けて腕を組んで待つ。
と、お隣さんが出てきた。
ボクが口を開こうとした瞬間、お隣さんの唇が近づいて、口をふさいだ。
『今日は早く帰ってくるから〜!楽しみに待っててね』
『バカヒロ!!いつも調子がいいんだから!』
慌ただしく去ってくお隣さんの背中には、ボクの言葉は虚しく響いてた。
さて、ボクも仕事に行かなきゃ、色々作業が詰まってるからなぁ・・・と、早めに家をでる。鍵を掛ける時思わず、お隣さんのドアを見て、やっぱり憎めないんだよなぁ、とため息をついた。
仕事を終え、帰宅すると、ボクの部屋に灯りがついてた。お隣さんが合鍵を使って待っていたようだ。
ドアを開けると、お隣さんは、悠々自適にボクのソファに横になってテレビを見ている。
何か、気が抜けて、その場にへたりこんだ。そんなボクにお隣さんは、
『おかえり〜!遅かったじゃん。』
な、なんてノーテンキ。
ソファから飛び降りて、ボクをお姫さまだっこする。は、恥ずかしいんですけど・・・。
『いつものお礼に、イチゴケーキいっぱい買ってきたよさ、さ、食べよ、食べよ。』
『はぁぁ〜。』
ため息を吐くボクをお隣さんは、不思議そうに、覗き込む。
『食欲ないの?』
『ヒロはノーテンキだねぇ。』
そんなボクの言葉に、お隣さんはこう答えた。
『そんなことないさ。・・・また「沈黙」とか言って大ちゃんに愛想つかれちゃったらイヤだもん・・・。』
不意に真面目な顔になった。なんか子犬のような瞳で見つめられ、つい、
『そんなこと、もう、絶対無いから!!』
って言うか、まだお隣さんはボクを、お姫さまだっこしているので、
『そろそろ降ろして頂きたいんですけど・・・。』
お隣さんはイタズラぽく、わらってこう言い放った。
『いーやーだー。先にこっちの方をたべちゃうかな』
えー!?どうしてそうなるの???
こうして、浅倉大介の受難な日々は、まだまだ続くのであった。