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□HAPPY BIRTHDAY,HAPPY WEDDING
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ヒロのマンションの隣の部屋に棲むようになってどれくらいたったのかな?
流石に同棲はできないよねって。
自由に行き来出来るようにお互いの合鍵は持ってる。
でも。ボクは早起きで8時頃には起きるんだけど、ヒロは夜型だから14時位から動きだすんだよね。
だから、意外と会えなかったり。

そして、今日はボクの誕生日。
2人オフにして、ヒロのお家でバースデーパーティーをしてくれるんだ。

明日、用意があるからそれが済みしだい迎えいくねと昨日の夜のうちに電話があった。

今日は早起きしたのか10時頃には、隣でガタガ音を立てて、バタンとドアを閉める音をたてて出ていったみたいだ。

『気合い入ってるなー。』
当の本人、ボクはお構い無しなんだけど。


うとうとしてたのか、ベッドで眠っていたようだ。

お隣さんはまたバタバタしてしている。
ちょっとしたら静かになって、携帯がなる。
もちろん、ヒロから。
『あと30分したら、迎え行くからね。おめかししてくるんだよ。』
本気か冗談か解らない言い方だ。
『あー、解った解ったよぉ〜。』
『返事は一回!あ、リボンブラウス来てきてね。あれが一番可愛いから。』
アタマが照れでボンってなる。そんな照れ臭い言葉、どっから出てくるんだ。
『はぁい。解ったよ、待ってるからね。』
と電話を切る。
ボクは顔を洗ったり、寝癖を直したり、そして、ヒロお気に入りの白いリボンブラウスに袖を通した。

そして、チャイムが鳴り、ボクは外に出る準備をする。
ドアを開けたヒロは上下真っ白なコーディネートで、一瞬アタマがクラッときた。
『何時にもまして、ハデだねー?高級ホスト?』
シャレにもなんないジョーク。ヒロの造作のよい華やかな顔立ちがより強調されている。ボクの問いかけに、いいのいいの、とはぐらかす。

あの騒音でヒロの部屋はどうなってるのか、ちょっと、怖い気がする。

ヒロの部屋に入って驚く。
照明がシャンデリアになってる。よく見ると、壁中にキラキラしたすだれの様なものかキレイに並んでくっついてる。
『どうしちゃったの、ヒロ・・・?』
照れ臭そうに立ってるヒロ。
テーブルにはちょっと不細工に三段に飾られたいちごケーキとリボンをつけた果物ナイフ。ミニブーケに、それにシャンパン。
様子のおかしさに、ヒロを見ると、顔を真っ赤にさせて、ボクを引っ張る。
ボクの腰をぐっと引き寄せ、」たたんであった布をとる。それはレースのカーテンだった。
『取り敢えずこれ、腰に巻くね。』
くるくると少しひだを作りながら、腰に巻かれて、クリップで留められる。
もう一枚のカーテンは、頭にかけられて、また手早くクリップで留められる。
ようやくヒロの服装の意味が解った。
『ヒロ、これって・・・』
言いかけて、ヒロの端正な指で止められる。
『・・・結婚式。オレの気持ちをどうしても形にして伝えたくて。・・・男なのに嫌だった?』
いつもは自信満々なヒロが小さい子供に見える。
『嫌な訳ないじゃん!ボクだってヒロのこと大好きだから・・・。』
唇を奪われる。まだ早いよ、と笑った。
『ウエデェングドレスは、流石に用意できなくて、レースのカーテンになっちゃったんだけど・・・ごめんね。はい、大ちゃんブーケ。』
ボクの瞳から大粒の涙が集まった。でも、泣かない様、ヒロに見られない上に顔あげた。


『取り敢えず窓側に行こうか?』
『うん・・・。』
二人で移動する。

『えっと、どうだったかな・・・?』
『んーこうかな?』
『貴水博之、汝は浅倉大介を、健やかなるときも病めるときも、永遠に愛し続けることを誓いますか?』
『はい・・・』
ヒロの真剣な瞳がボクをとらえる。
『じゃあ、次は大ちゃんね』
『浅倉大介、汝は貴水博之を健やかなるときも、病めるときも、永遠に愛し続ける事を誓いますか?』
『はい・・・』
ボクはそう答える。
『では誓いのキスを・・・』
ヒロの顔が近づき、ボクは目を閉じる。ドキドキする胸の鼓動が聞こえてしまいそうだ。
そして唇は軽く重なり合い離れた。
再び目を開ける。

キスなんかいっぱいしてきてるし、オトナのキスだってしてる。
なのにこんなに切なくて、嬉しいキスは何故?

ヒロが頭のレースのカーテンを外してくれた。
『おままごとみたいな事しか出来なくてごめんね。』
そのまま髪を撫でてくれる。
『そんなこと、ないよ・・・。ヒロの気持ちが嬉しい・・・。』
なんだか涙が出てきた。
甘くて激しいキスをする。
『あ、ケーキあるから、一緒に入刀しよう。』
ヒロが言った。
『僕達は初めての共同作業じゃないね〜。』
長い間accessで一緒にやってきた。
『そうだね〜。これ3つとも違うお店で予約してきたから、色んなイチゴケーキが食べられるよ。三段にするの大変だったんだから。』
ヒロが自慢した。
『はいはい。』
ボクがいうと、
『返事は一回!!』
いつものボクたちに戻った。


シャンパンの酔いに任せて、ヒロに息が上がるような深い深いキスをした。
ヒロの腕のなかで、『今日はありがとう、最高の誕生日をくれて。』
『うん、よかった、喜んでくれて。』
今度はヒロからのキス。胸の鼓動が聞こえてきそうな。


ほんと、最高のHAPPY BIRTHDAY。
最高の、HAPPY WEDDING。

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