access to ACCESS

□幸せの病
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オレの腕の中には彼がいる。女の子みたいな可憐な顔立ちをしていて、危なっかしくて可愛い。
寝息をたてる目蓋にキスをする。可愛い唇にも。
幸せを感じる一瞬。



オレ達の出会いは、突然だった。
音楽関係者に連れていかれたライヴのバックを務める彼。衝撃を受けた。
まさかその彼とオレが「access」というユニットを作る事になるとは・・・。
出逢いは衝撃的で、運命的だった。

いつからだろう。尊敬という感情が「好き」にかわったのは・・・。彼は上目遣いをしながら、しっかりとオレの瞳を見て話す。オレはその瞳を離せずに話す。そんな、積み重ねかもしれない。

access三部作の時には、彼に『同性愛をテーマにしよう!』と、冗談なのか、本気なのか、突然の事でびっくりした。

もう、オレは彼に惹かれている。想いがこもり過ぎて、作詞の代役を頼んだ。

そして、アリーナツアーの魅せ所、キスの真似をするシーンで、ついに、彼に、そう、大ちゃんに本物のキスをしてしまった。その柔らかい唇はオレを誘うように絡まり、止まらなくなって恋人とのキスにかわっていた。

その後大ちゃんは気にする様子もなく過ごしてくれた。
そして二人のソロ活動として沈黙に入った。


沈黙の後、どれくらいの時がたっただろう・・・。大ちゃんに我が儘を言って、もうaccessには戻らないつもりで「卒業」を選んだ。
想いを封じ込めるため。

ソロ活動では、まず、大ちゃんの為に歌詞を作った。TVの音楽番組で歌い終わった後、自然に「だいちゃん」と声に出さずに呟いていた。



そんなこんなで7年の月日が経ち、またaccessのプロジェクトが始まることになった。2人で再び出逢って一緒にやれると思ったから。

大ちゃんに聞いてみたいことがある。なぜあのキスのこと、それからの事を。
『あ、あれ〜?そんなことあったっけ?』
大ちゃんは意味深に笑っている。
オレは顔から火が出そうになる。髪をくしゃくしゃと掻き上げ、だいちゃんに助けを求める目で見る。
『あ、あったね〜、あれヒロが言ってくれるの待ってたんだよねぇ
大ちゃんが唇を尖らせる。
『・・・えっ!?それって・・・』
オレは情けないほどオロオロしている。もしかして、大ちゃんも・・・!?
『ぷっ。言ってくれるの、まってたのに。』
瞳を話さずに小悪魔の様に話す。
『やっぱ、メディアに散々否定してたし。ヒロから仕掛けてきたから、やっぱりそーゆーの、ヒロから言ってほしいじゃん?』
真実を知ったオレは何て勿体ない時間を過ごしてたんだ。
『ほらほら、ヒロ、ヒロってば言ってくんないの?』
アヒル口で微笑んでいる。
『こんの、ドSの小悪魔がぁ〜!!』
詰め寄って髪をクシャクシャさせたら、
『言わないんなら、知らないからね〜。』
もうオレの一人芝居。オレだって幸せになりたいし、大ちゃんとキスだっていっぱいしたいに決まってるさ。
大ちゃんの髪に、耳に、頬に、鼻のアタマに、チュッチュッとキスしながら、
『大ちゃん、大好き・・・だいすきだよ。もう離さないから、僕を信じて。』
ヒロの唇が大ちゃんを奪う。とろけるような甘さに、大ちゃんが立っていられなくなる。すかさずヒロが抱え込む。一旦唇を離し、
『ボクもだよ、ヒロ。大好きもう離さないで。』
今度は大ちゃんが積極的にキスしてきた。そのまま長くて甘くて、打ち明けられなかった月日を埋めるような長いキスをし続けた。

『これからは、ずっと一緒に』誓いあう。



ふと目を覚ます。
いつものヒロの腕の中。
少し遠回りもしてきたけどボクはずっと幸せ。そして、これからも。
眠るヒロの目蓋にそっとキスする。
気付かれないように、唇もキスをする。



ふたりは幸せの病。


*あとがき*
紆余曲折もありましたが、取り敢えず今は幸せってことで(笑)
ライヴを見てると、初期から比べると、コイツら(失礼)本当に幸せそうにしてるな、と。
恋の病じゃなく、幸せの病にいっちゃってるカンジです。

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