聖域〜サンクチュアリシリーズ〜

□Prologue 2 D-SIDE
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最近ちょっとまた不調気味の月影です、コンバンワ。
まぁ病院の環境が色々ありまして………早く退院出来ればいいんですが(笑)

それではコメ返いきまーす☆

★hanyaさま。
いつもコメントありがとうございます☆
お久しぶりです(^O^)お待ちしておりましたー☆彡
最近とにかく更新しまくってます(笑)
コンテンツ乱立しまくってます(爆)
本当は、ウツ大の続きを書いて早くUPしたいんですが………なかなかうまくいかず………(´Д`)
『マリアージュ』は色々ネタが浮かんでいるのでまた色々更新すると思います。
『琉奈ちゃん太陽くんシリーズ』コンテンツ化しましたぁヽ(´▽`)/みなさんが応援してくれたお陰………hanyaちゃんもありがとう゚+。(*′∇`)。+゚でも出産経験が無いので、手探り状態で書いてます(;^_^A次は大ちゃんママのお話書いてみたいです。
「Last〜」やっと終わりました。長い時間をかけてしまい申し訳ないです。
1〜14話はBLOG'S UP NOVELにUPしてありますのでお暇が出来たら、そちらをお読みくださいね\(^O^)/
「聖域」は他のコンテンツより、シリアスですが、後々ヒロの心に恋の華を咲かせます(爆)
ちなみに、ネキデザ、月影には最近あのフレーズにしか聞えませんwww
それではまたのご訪問、お待ちしておりますヽ(´▽`)/


それでは、ドゾー↓

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Prologue―2
     SIDE-D


 僕の気持ちを、貴方が薄々気が付いているのを知っていた。どうしても貴方の笑顔を目で追ってしまう。目が合えば、僕は恥ずかしくて誤魔化す様に微笑んで、目を反らしてしまう。
 貴方に出逢って2年間。ずっと貴方を追っていた。多分、出逢ったその日から恋に堕ちてたんだと思う。
 貴方の甘いハイトーンヴォイス。優しい大きなヘーゼルの瞳。切ない恋を綴る少し肉厚な口唇。
 女の子みたいに可愛いと言われる僕はそれでも男。貴方と同性。
 見た目がいくら可愛いと言われても、貴方は女の子が好きだから。
 だから、僕は最初から諦めていたよ。誰にも、貴方にすら言わないから、貴方だけを想わせて。片想いの痛みなんか、百も承知だから。
 だから、僕は貴方に想いを告げることはしない。永遠の片想い、それでいい。僕は貴方の傍に入れれば、それだけで幸せなのだ。
 一緒に居て楽しかった。どんなに忙しくても、顔を見れば、疲れなんか吹き飛んで、延々下らない話で笑い合っていられる。貴方に見つめられる、そんな事だけでも嬉しかった。
 ヒロには、どんな意味でもいい。僕の事を、好きでいてくれるのなら。
 でもその均衡が、崩れる日がやってきた。鮮明に覚えてる。
 それは、事務所の社長に呼び出された事から始まった。
 その時は、新しいプロジェクト、三部作が始動した頃。体が燃えて全力疾走する様な、目も眩むスピードでスターダムに上り詰めていた頃。
 そんな僕に、事務所の社長から、呼び出しがあった。
「………浅倉くん、ソロや、プロデュースの仕事に興味はないかね。」
 低く呟く様な声だった。最初は何が言いたいのか解らなかった。
 今は三部作の真っ只中で、『DRASTIC MERMAID』だって順調に売れている。年末には、初のアリーナライヴも待っている。
 そして、僕にはヒロと一緒に居られるaccessがあったから。
「突然、何ですか?それは、いつかソロやプロデュースの仕事もしたいと思ってます。でも、僕にはaccessがあります。ヒロ………貴水くんとまだやりたい事が沢山あります。」
 社長は溜息を漏らした。
「君は、プロデューサーとして活動するのには、興味が無いのか?」
 『プロデューサー』。それは音楽を糧にしている者は一度は憧れる仕事。でも今はaccessの事しか頭に無かった。プロデューサーになるのは、もっと後でよかった。
「興味がないと言ったら嘘になります。でもそれはもっと後でもいいと思います。今の僕にはaccess以外考えられません。」
 その答えに、返ってきた言葉は衝撃的だった。
「貴水の事務所……、あちらさんが、貴水君を返して欲しいと言われている。そろそろ契約更新の時期だ。だから、貴水くんとは契約更新はしない。」
 目の前が真っ暗になると言うのはこういう事を言うんだろうと思った。足元がふらつく。血の気が引いていくのが、自分でも解った。
「それにもう、年明けにはソロの企画と、プロデュースのオファーが入っている。」
 僕は絶句した。所謂『大人の事情』というもので、僕たちは離れ離れになろうと言うのか。
「………accessはどうなるんですか………?」
 返答は解り切っていたけれど、そう訪ねずには居られなかった。
「accessは………無期限活動停止。これからはお互いソロでやって貰う。」
 これが、神の審判と言うのだろうか。何故?僕が貴方を愛してしまったから?
「この話は、事前に君のマネージャーにも伝えてある。三人で話し合いなさい。」
 僕は何も言えず、ふらふらと歩きながら部屋を後にした。

 事務所に戻ると安部ちゃんが、心配そうに待っていた。ヒロはまだ居ない。
「大介、顔色が悪いわよ?大丈夫?」
 安部ちゃんがそう言った。彼女を見たら、何故か涙腺が緩んだ。
「安部ちゃん………僕、泣いていいかな…………?」
 彼女は黙って頷(うなず)いた。全てを知っていて、全てを理解している様だ。
 僕は思い切り泣いた。声をたてて。どこからこんなに涙が溢れてくるのかと思った。
 そして、少し落ち着いた頃、安部ちゃんが、
「社長の話を聞いてきたのね。大介にも………博之にも辛い選択だと思うわ。私も悲しいもの。」
 と僕の髪を撫でながらそう言った。
 僕にはaccessが聖域だった。誰にも侵されない―――――。なのに、今それは、脆くも崩れ去ろうとしている。
「ヒロには………まだ、黙ってて。僕が、折を見て話すから………。」
「解ったわ………。でも、何時かは話し合わなきゃいけないのよ?」
「うん………解ってる。」
「それに大介、貴方、博之の事が好きなんでしょう?……何でって顔してるわね。もう3年も大介のマネージャーしてるのよ。それに貴方、博之の事になると、解りやすいもの。」
 ふふふ、と安部ちゃんが笑った。僕もつられて笑った。
「安部ちゃんには、ホント適わないね。………そうだね、ヒロと距離を置くいい機会かもしれない。」
 安部ちゃんが頷いた。
 離れ離れになるとしても、ヒロ、貴方の事を好きでいさせて?出来るのならば………。
 何も要らない。
 何も望まないから。



――――バターンッ……………!!

 事務所で安部ちゃんと三部作のプロモーションの話をしていた時、激しいドアが開く音がしてそちらの方へ振り返った。
 何時も笑顔のヒロが、表情を固めて顔面蒼白で立ち尽くしていた。胸騒ぎがする。
「どうしたの、ヒロ。顔色、悪いよ?」
 あの事をとうとう知ってしまったのか。何(いず)れ話そうとしていた事を先伸ばしにし過ぎていた。僕に、勇気が無いばかりに。
「大ちゃん……安部ちゃん………これからオレたち、ソロになるって、本当?accessは無期限活動停止になるって、本当?」
 やはり。自分の表情が固まるのが解る。
 『違うよ。』って、言いたかった。ヒロの為、と言うより、自分の気持ちの為に………。
「何で話してくれなかったんだよ!!二人とも………。」
 ヒロが怒ってるのが、身に染みて解った。悔しい表情を浮かべているヒロ。そんな顔をさせたくなかったのに………。
 僕は口を開いた。
「………黙っててゴメン。折を見て話すつもりだったの。今、三部作も好調だから………つい、話せなくなて。」
 僕の本当の気持ちだった。ヒロを蚊帳の外にするつもりは無かった。
「大ちゃんは………ソロやりたいの?accessはどうなるの!?」
 ヒロの表情が怒りに変わり、僕は胸ぐらを掴まれた。目と鼻の先に、ヒロの顔がある。
「ソロ活動に興味が無いって言えば嘘になる。自分の力を試すいい機会だから………。accessは……僕は……。」
 僕だって、access続けたかったんだよ………でも、『会社の事情』はそれを許してくれなかった。
 言い訳を探して目を逸らした時に、体が引き寄せられ、ヒロの肉感的な厚い唇が僕の口唇に重なった。何が起こったのか………僕は混乱した。
 やがて口唇が離れると、ヒロが僕を解放した。
 そして。
 安部ちゃんが、ヒロを平手打ちするのが見えた。

パシーンッ!!

 乾いた空気に、その音が響き渡る。
「博之………貴方、大介の気持ち、気付いてるわよね?この子の気持ちを利用するつもり?今すぐ謝りなさい!!大介に!!」
 僕は呆然と立ち尽くしていた。目頭が何故か熱い。
「ごめ………オレ………accessが全てだから……オレの居場所はaccessだけだから………。オレ、卑怯だったよ。」
 ヒロは、左の頬が赤くなって、泣き出しそうな声だった。僕がヒロをここまで追い詰めたのだ。
「いいよ………、黙っていたのは僕だし………。安部ちゃんに口止めしたのも僕………。ヒロの事が好きなのも本当だし。僕………もう、苦しかったんだ。」
 ヒロに僕の気持ちを完璧に知られた今、これだけは伝えておきたかった。最初で最期の告白。
「あのね、ヒロ。許してくれるのなら、ずっとヒロの事を好きなままでもいいかな?何も望まないから………。それとも、気持ち悪い、かな?……気持ち悪い、よね………。」
 応えてもらえなくていいい。気持ち悪いと罵られてもいい。ただ、この先も貴方を想う事だけ、それだけを、僕に許して。
「気持ちには応えてあげられない………。でも、好きになってくれてありがとう。大ちゃんとは違う意味だけど………オレは大ちゃんの事が大好きだよ?離れ離れになっても、それは変わらない。」
 友人として、仕事のパートナーとして、僕を大好きと言ってくれたヒロ。本当はそれは残酷かもしれない事だけど、嬉しかった。
「………ありがとう、ヒロ。」
 そう言って僕は右手を差し出した。ヒロはその手を強く握り返してくれた。
「………ありがとう、大ちゃん。短い間だけど、一緒に頑張ろうね。」
 僕たち2人は、袂(たもと)を別(わか)つ選択を、この時した。
 僕は、ヒロの顔が滲んでみえるのを見て、瞳に涙が浮かんでいるのに気付いた。
「僕、お手洗いに行ってくるね。」
 手を離して、足早にドアに向かい、お手洗いに駆け込んだ。

 泣いて。
 泣いて。
 涙が枯れるまで、泣いたら。
 また、笑顔が取り戻せる。



 これから、accessとして、燃え尽きようとする僕たち。
 離れ離れになっても、accessを想う気持ちに、嘘偽りはないよ。
 ヒロを想う気持ちにも。
 心はいつも貴方を求めている。

 残された少ない時間。
 僕は貴方と走り抜けよう―――――。

       《了》


*アフタートーク*

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