access to ACCESS vol.2
□I SING EVERY SHINE FOR YOU
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街角が冬の蛍の様に彩どられる12月。聖なる灯(あか)りが街中を点(とも)している。
ふと足を止め、後ろを振り向けば愛しい彼が、はぁっと手の平に息を吹きかけながら、オレの後を追い掛けて、寄り添ってくる。
accessのカウントダウンのリハの後の帰り道。駐車場まで、一緒に歩く。
「時間(とき)が経つのは、早いね。もうすぐ、カウントダウンライヴだね?」
と大ちゃんが言った。
「うん、そうだね。どれだけの人がオレたちの歌を待ってくれているのだろう?」
とオレは言う。
オレは大ちゃんと出逢い、人生が変わったと言っても過言ではない。オレの我儘で離れていた時もあったけど、accessが存在していたからまた再び逢えて、今こうして一緒に音楽を作り出している。
「沢山の人が待ってくれているよ。ライヴに来られない人たちも大勢待ってくれている。」
大ちゃんがオレのコートの中の手を入れて、オレの手を握り締めてそう言った。
「………そうだね。沢山の人たちがオレたちの歌を待ってくれている………。」
冷たくなった大ちゃんの手を温めるように、彼の手をぎゅっと握り返す。
「………ライヴに来られないみんなも………待っててくれているね、オレたちの歌を。」
accessのファンになってくれて、何かが変わった人たちがどれくらいいるのだろう。大ちゃんの曲を聞いて何かを感じてくれた人たちがどれくらいいるだろう。オレの歌詞に触れて何かを思ってくれた人たちがどれくらいいるだろう。
みんな、違った暮らしの中で、accessと言う音楽で繋がっている。
「オレの歌詞(うた)で、何か変わった人がいるのかな?ねぇ、大ちゃん。」
不思議そうな顔をした大ちゃんは、オレの顔を覗き込み、笑顔でこう言ってくれた。
「いるよ。沢山いる。僕たちが出逢って人生が変わったみたいに、accessに出逢って何かが変わった人たちが。」
オレは、大ちゃんに微笑み返し、立ち止まった。二人して冬の夜空を見つめる。
一際明るい光を放つ、オリオン座。
どうかお願い。
オレの歌声が、みんなに届きますように。
オレの言葉が、出会えない君たちに伝わりますように。
もう一度、大ちゃんと見つめ合うと、全てが解ったような気がして、額をくっつけて笑った。
そうしてまた、二人で手を繋ぎ歩きだす。
出会えない君なら 想いだけ届けて 僕は君のために
FOR YOU,I SING EVERY SHINE FOR YOU
【了】
*あとがき*
年末でmixiをやめられる、大切なマイミクさんに伝えたくてmixi上で公開していました小説に加筆修正致しました。
短いけれど、彼女に伝えたいこと全てです。
今はこんなことしか出来ないです。
もっとお話したかったです。
accessと言う輪の中で、出会えなくても、みんな繋がっています。