access to ACCESS vol.2

□STAY MY LOVE
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 何時も、何時までも、変わらぬ愛と、新鮮な感情をくれる君。
 普通なら、付き合って何年も経つと、空気みたいな存在になるって言うけど。
 それに自慢じゃないけど、大ちゃんと付き合うまでは、長く続いて一年、早ければ一ヶ月で、次の女の子と付き合ってきたオレ。今考えると、『好きなの』って言われて、女の子が好きなオレは何となく流されて付き合ってきた。
 そんなオレが、こんなにも愛しく大切に思える存在に出逢えるなんて。
 同性と付き合うのに、最初は思うところもあったのだけれど、彼は、彼の言動や仕草が可愛くて可愛くて仕方がない。
 こうやって、朝焼けの光のヴェールを纏った、白い胸をオレに預けて微睡(まどろ)む彼が愛しくて守りたくて仕方がない。
 鈍色(にびいろ)に染められた頬に落ちる繊細な睫毛の長い影。熟した苺のように紅く色付く口唇。安心しきった様にうっすらと開いた口唇から覗く白い歯。
 何があっても、失いたくない程、ただただ君が愛おしくて。
 昔、一度は失った絆を、元に戻してくれた彼に感謝しなくてはいられない。もしあの時あのまま離れたままだったら、こんなにも幸福(しあわせ)な感情を手に入れる事は無かった。
 そんな2人だからこそ、百年経ったら、この世に存在しなくなってしまう事が、とても悲しく切ない。
 腕枕をしている左腕で、その肩を引き寄せる。華奢で夜の寒さに冷えた肩を暖めるように包む。
 起こさないように、と、慎重に引き寄せたつもりだったけれども、それは失敗に終わった。オレの気配でうっすらと彼の瞳が開く。
「………ん、……んんっ………。」
 彼が『おはよう』と口にする前に、オレは優しいキスで口唇を塞いだ。
「………ヒロ……、どしたの………?」
 彼は不思議そうにオレを見た。
「………いや、朝焼けに染まった大ちゃんの白い肌がやけに綺麗だったから。」
 彼は焦って、胸元まではだけてしまっていたシーツを手繰り寄せると、子供の様にぐるぐると体を被(おお)った。照れ臭そうに口唇まで、隠してしまっている姿がとても可愛い。
 夜中じゅう愛し合った痕跡が残る純白のシーツ。2人、生まれたままの姿。
 恋人だから当然なんだけど、裸のままで、夜を明かすのだけれども、起きた時に、何時もテレて、体を隠してしまう仕草はとても可愛い。知り合って20年も経つのに、何時までも慣れないらしい。そんなところも可愛いくて、仕方ないんだけれども。
「何かね、大ちゃんが幸福(しあわせ)そうに眠っている姿を見ていたら、百年後には、存在しないオレたちが淋しいなって思ったんだよ。」
 とオレが言う。
「………ん。そうだね………。………子供が生まれる訳でもないし、ね………。」
 気のせいか、少し悲しい顔をさせてしまった。余計な気を使わせてしまったようだ。でも、彼はシーツから目元だけ出したままで続けた。
「でも僕たちには、accessがあるよ。今確かに存在しているんだし、僕とヒロの音楽はずっと生き続ける。」
 そこで言葉を切り、彼の華奢な指がオレの口唇に触れた。
「………僕たちが、確かに生きていた証拠。僕たちが死んじゃっても、残っていくよ?」
 と君は微笑んでそう言った。
「僕たちの………子供、みたいに………。」
 そんな君をまた愛しいと思う。そんな彼をシーツごと君を抱き締める。オレは何故だか泣きたい気分になる。
「………そうだね。オレたちが出逢って、確かに一緒の時を過ごした証拠(あかし)、だね。」
 そして寝室のカーテンを開けると外を見ると、美しい深い青からうっすらと赤く染まる、まだ星たちが残るグラデーション。この世に生まれてきた君の名前に捧げる星を探す。
 段々と白む朝焼けのに強く輝く星を見付ける。
「大ちゃん、見て?朝焼けの中に輝く星があるよ。」
 そんなオレの言葉にシーツから頭をだして、窓を見る君。
「………ホントだ。とっても綺麗………。」
 と感嘆の吐息をもらす。
「………大ちゃんの名前をつけたいな………。」
 とオレは君に告げる。君は、
「………ヒロ、ロマンティックだね。流石、作詞家。」
 と、恥ずかしそうな顔をする。
「………でも、ありがとう。」
 君の頬が赤いのは、きっと朝焼けの所為だけじゃない筈。照れ臭さを隠すように、オレの胸に顔を埋める。このまま君を愛してみたい。
 オレは君の顎を指で顔を上げさせると、君を貪るように激しく接吻(くちづ)けた。それに応えるように、オレの舌や口唇を甘噛みする君。
 ようやっと、口唇が離れると、甘い吐息を上げ、
「朝から激し過ぎるよ、ヒロ………。」
 と、照れ臭そうに君が笑う。
「そうかな?」
 君となら、どんなものに出逢っても、全てを愛せる気がする。
「大ちゃん、愛してる。ずっと、ずっと。」
 オレはそう君に言った。
「オレたちがおじいちゃんになっても、永遠に、だよ。約束する。」
「何を突然に。」
 と君は、笑おうとしたけど、オレの真剣な眼差しに気付いて、柔らかな微笑みに擦り変わった。
「………僕も、愛してるよ、ヒロ。きっと、ずっと。」
 そう応えてくれた。


 何があっても君だけは、見失わない。離さない。
 永遠に。
 そう、永遠に。
 君だけを、愛している。

      【了】


*あとがき*

『ステマイ』がエンドレスに流れたままこのお話が生まれました。

この歌ば大好きで、一度お話を書いてみたかったものです。

大ちゃんも『ステマイ』好きなんですよね?

あたしの腐った耳は、大ちゃんとのコトを歌ったようにしか聞こえません(爆)

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