access to ACCESS vol.2
□HOT CRUISING NIGHT
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街中が、
LING DONG♪
聖なる鐘が響く。
恋人たちは肩を寄せ合い、
Merry Merry Christmas
聖なる灯りの元、愛を囁くよ。
今日はヒロのクリスマスクルージングナイト。
………今頃は、ヒロは、沢山の女の子に囲まれながら、ナイトクルージングを楽しんでいるのかな?
………それとも沢山の女の子に愛の歌をうたっているの?
―――――嫉妬(ジェラシー)?
横浜のクリスマスイベントの打ち合せを済ませて、帰宅の途に着く頃には、息も凍る夜になってた。
手袋を忘れた指先は凍る様に冷たくて。白く彩る息を、はぁっと吹き掛ける。
立ち止まって夜空を見上げれば澄んだ空気に光るオリオン座。
寒さは、人恋しく感じさせる。
ヒロは、今、僕だけを見てくれてると、解っていても、僕はヒロと一緒に居る沢山の女の子たちに嫉妬している。
「………バカみたい。」
独り言を呟く。
今朝、僕の家から通うヒロに、
「『クリスマスの予定は?』って聞かれたら、なんて答えるの?」
と意地悪な質問をしてみた。
ヒロは、
「何て答えて欲しいの?」
と少し嬉しそうに聞き返してきた。
僕は、
「『大ちゃんと過ごします。』なんて、流石に言えないよね?」
と笑い飛ばした。
「………言ってもいいよ?」
僕に行ってきますのキスをして、そう答える。
………言えないくせに。
ファンのみんなが怪しむ程仲が良い僕たちでも、流石にそんな事は言えない。
「大ちゃんも、横浜のイベントの時、言ってくれる?」
今度はヒロが意地悪そうな顔をした。
「………バカ。言える訳、ないじゃん………。」
僕はヒロに、いってらっしゃいのキスをしなおした。
「じゃあ、『予定が無い』って言っておくよ。」
ヒロは、そう言って貪るようにキスをしてきた。
それに応えるように、舌を絡ませたり口唇を甘噛みしたりする。
「嘘つき。」
口唇が、離れると、僕はそう言った。
ヒロは、何も言わずに困った様に微笑むと、踵(きびす)を返して僕の部屋から出ていった。
なんで、あんな事言っちゃったんだろう。
別に困らせたかったわけじゃないのに。
口唇から漏れる吐息が白い。
ずっと、夜空を見上げていたから体が芯まで凍り付いてる。
「………ひとりは、さみしいよ、ヒロ………。」
そんな独り言に重なって、メールの着信をバイブが伝える。
携帯電話を凍える手でいじると、それは、ヒロからのものだった。
『今、ちょっとだけ、休憩時間。クリスマスには、今度は2人きりでナイトクルージングしようね!』
動く絵文字が苦手なヒロのメールに、色んな絵文字が賑やかに動いている。
『愛されてるんだよね?』
そう、自分に問い掛けた。
『淋しいよ。早く帰ってきて。』
とメールを打ったけど、返送するのは止めた。
ヒロと知り合ってもう20年。
だけど。
ヒロがくれた夢を叶える時には、新婚気分でクルージングしたいな。
【おわり】
*あとがき*
ホント、久々の小説UPです。
他にも10作品ほど作ってはいるんですが、同人活動を再開しようと、とりあえずはストックにまわしてあります(笑)
このお話は、ヒロのクリスマスクルージングイベントのレポートで、ヒロが『クリスマスの予定はない』と言ったのを、参加者さまが、『嘘つき〜』とひやかせれていたとのことで、生まれました。
また、ちょこちょこと、サイトの活動も再開したいと思います。