雑食

□ごめんね、愛してる
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ふと、噂好きな友達から耳にした事だった。

「瞳って、すみちゃんのこと嫌ってるらしいで」
「え…?」
冗談だろうと思った。まさか瞳が、うちの事を嫌いなんて。
得に特別な事もなく、普通に終わった。今日は顧問が出張だから部活はなし。トイレに行ってから帰ろうと思ってトイレの扉をあけようと思ったとき、瞳と友達の声が聞こえた。
「瞳ってさ…すみちゃんのこと嫌いなん?」
「あぁ…。まぁ、ね。」

思わず自分の耳を疑った。嘘だ。そんな、嘘だ。
思わずガタン、と音を立ててしまった。
「澄香…!?」
「ごめん、立ち聞きするつもりはなかったんやけど…」
「ちが、これは」
「いいよ。瞳、今まで迷惑ごめんな。所詮、そんなもんやねんな。」
涙を堪えながらその場を立ち去る。階段がぼやけて余り見えにくかったけど、急いで降りた。
「澄香ッ!」
ガッと肩を捕まれて、強引に後ろを向かせられる。
「やめてっ、離して!」
振りほどこうとするけど、部活でレギュラーの瞳には敵わない。
何で止めるの。嫌いならそのままにしてよ。優しくしないでよ。
「澄香っ!」
キン、と瞳の声が放課後の下足場に響く。
「きらい、なんやろ…?」
「違う。あの後、そんな訳ないって言うつもりだった。」
「嘘だ。だって、だって…」
ぎゅっと瞳が抱きしめる。それは、ウチの全てを包み込む様に。

「ごめんな、不安にさせて。澄香の事、…愛してるから」
最後の言葉は、耳元でゆっくりと、小さく囁いた。でも、ウチにはしっかり聞こえた。
ゆっくりと瞳の背中に腕を回して、ぎゅっと、制服を掴んだ。

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悪口、噂ネタ
こういうの良くあるよねっちゅー話や。

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