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 *四木臨表現あり(むしろ四
  木臨だけ)
 *未成年の飲酒表現がありま
  す。このサイトは18歳以上
  の方のみとなっていますが
  、苦手な方や受け付けられ
  ない方はお戻りください。









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 「はじめまして、折原です」


 高校生に成り立ての頃、臨也
 は初めて四木に出会った。


 これから長く付き合うことに
 なるであろう仕事相手という
 こともあり、少し緊張しなが
 らそう言ったことは、今でも
 忘れられない。

 「裏社会」という言葉が似合い
 すぎる此処は、新宿のとある
 ホテルの一室。そして、長方
 形のテーブルを挟んで向こう
 側のソファに座る四木の姿に
 も、「裏社会」という言葉がぴ
 ったりだった。

 軽く挨拶をして、臨也は自分
 が情報屋になりたいと思って
 いることを明かした。自分が
 いずれ情報屋になった時、ま
 ずは四木の属する粟楠会と親
 密な関係を築いておこうと考
 えたからだ。


 「こんな餓鬼がねえ……」

 「餓鬼で申し訳ありません」


 明らかに嫌味ったらしく四木
 が臨也を「餓鬼」と笑うと、臨
 也も、その「餓鬼」特有の笑顔
 で嫌味を返すのだった。

 四木は意地悪そうな笑みを浮
 かべて、各部屋に用意されて
 いる冷蔵庫から酒やらワイン
 やらを持ってきた。

 備え付けのグラスの2つに中
 身を注ぎ、片方を臨也に差し
 出す。


 「いただきます……といいた
 い所なんですけど。四木さん
 さっき俺が高校生っていうの
 聞いてましたよね?」


 自分がまだ未成年だというこ
 とを嫌味を込めていい放つ。


 臨也が苦笑いしながら問うと
 、四木は自分のグラスを片手
 に臨也を凝視する。

 それはもう、「飲め」と間接的
 に言われているのに近く、臨
 也は仕様がないとグラスに口
 をつけた。

 臨也は、交渉や相談の時に酒
 を飲ませられることに不安を
 感じた。記憶が飛ぶ程飲んだ
 ことすら無いが、こちらが先
 に酔ってしまえば、圧倒的に
 状況が不利になる。

 四木がグラスに注いだ液体―
 おそらく酒の瓶には、原産地
 の国を示す国旗のマーク。

 そして臨也は、同じく記して
 ある数値を見て、思わず目を
 見開いた。


 (60……%……!?)


 見たこともないような数字に
 驚きと焦りが隠せない臨也は
 、四木と目を合わせることが
 出来ない。


 「……初めて飲みますか?」


 「……は、い…」


 しくじった。


 臨也の脳内に、その五文字が
 浮かぶ。

 こんなものを飲まされて意識
 が曖昧にでもなったら、交渉
 やら相談やらでは無くなって
 しまう。適当に相槌を打ちな
 がら意識をしっかり持たない
 と、この男に騙されてしまう
 かもしれない。


 「ここのホテル、結構取引に
 利用していまして。好きな酒
 を何本かサービスしてくれる
 んですよ。……もちろんうち
 限定で」


 そんなサービス聞いたこと無
 い。どうせサービスしなけれ
 ばならないように粟楠会がし
 たのだろう。


 「まあ、飲んでみればどうな
 るかは解りますよ。それはテ
 キーラの中でも度数が高い方
 ですが、まあこれとは比べ物
 にならないでしょう」


 臨也が半分パニックに陥って
 いると、四木は先ほど持って
 きた残りの瓶を指差した。


 ラベルには「vodka」の文字。
 どれもアルコール度数は60%
 を越えていることに、臨也は
 背筋が凍る思いをした。


 「……折原さん」

 「何ですか?」

 「高校を卒業したら本格的に
 情報屋として働きたいとおっ
 しゃいましたよね?」

 「…はい、それが何か…?」


 臨也のグラスを持つ手が震え
 る。何を聞かれても冷静に答
 えられるように、頭の中で様
 々なことを考えていたのだが
 、このやっかいな酒のせいで
 頭が上手く回らない。


 まだ半分も飲んでいないそれ
 の水面に映った自分の顔は、
 怯えと焦りが混じった、最悪
 の表情だった。


 「……情報屋をやるのは簡単
 ではないですよ、特にまだ酒
 にも慣れない餓鬼にはね」

 「……知っています」


 四木が一口グラスに口をつけ
 、言う。


 「貴方なら、情報を集めるこ
 とも、売ることも簡単にこな
 して見せるでしょう。しかし
 、金でも口座番号でも買えな
 い情報もあるんですよ」


 「……?」



 とっさに臨也の頭に指やら臓
 器が浮かんだが、四木が言っ
 ていることが理解出来なかっ
 た。それはただ単純に、四木
 の言っていることが難しいの
 か、臨也の頭が回っていない
 のかはわからない。



 「……体を売るんですよ」

 「は……………?」


 臨也の手から、グラスが滑り
 落ちる。カシャンと音を立て
 て、高そうなグラスは、高そ
 うなテキーラをぶちまけ、高
 そうな絨毯を汚した。


 「あ、っ、すいません……」


 臨也は、逃げるように割れた
 グラスを拾って、タオルをバ
 スルームへ取りに行った。四
 木は無言で立ち上がり、広が
 る液体をハンカチで拭った。


 「!?四木さん、ハンカチ…
 …自分で始末します」


 バスルームから真っ白なタオ
 ルを持ってきた臨也が、四木
 に気付き声を荒げる。


 「こんなに驚かれるとは思い
 もしませんでしたよ」


 「……流石に驚きますよ、だ
 って俺は男ですよ?」


 臨也は、恐る恐る四木の顔色
 を伺って、ごくりと唾を飲み
 込んだ。



 四木の目は嘘ではないと言わ
 んばかりの威圧と、獲物を目
 の前にした獣のそれを物語っ
 ていた。


 臨也が冷や汗を浮かべながら
 、集めたガラスの破片を始末
 しようと立ち上がろうとした
 瞬間。


 「え、…………?、」


 足ががくんと震え、臨也はそ
 の場にぺたりと座りこむ。手
 にあったガラスの破片は絨毯
 の上にばらばらになり、天井
 の照明を反射して輝いた。


 四木が座り込んだ臨也を見下
 し、怪しく微笑んだ。


 (なんだ、これ……体が動か
 ない……、)


 「いい様ですね」


 「四木、……さん、お酒に、
 薬かなにか、……」


 「……だから駄目なんですよ
 。……まだ義務教育が終わっ
 たばかりの調子に乗った餓鬼
 がこんな世界に首を突っ込む
 なんて」


 四木は臨也の頬に手を寄せ、
 慈しむようにそう言った。


 殺される……?


 臨也の頭にその文字が浮かぶ
 。罰だ、これは大人を嘗めた
 自分への罰だ。逃げろ、早く
 殺される前に逃げろ。だけど
 足が動かない。それに、もし
 足が自由に動かせたとしても
 、腰が抜けてしまっている臨
 也は立ち上がることも出来な
 い。


 「いや、だ……お願い、殺さ
 ない……、で」


 臨也の頬を擦りながら哀れむ
 ようにしていた四木は、臨也
 の台詞を聞いて笑い始めた。


 「殺さないで……?っは、今
 まで何度も聞いてきた台詞で
 すが、まさかこの状況でその
 台詞が出るなんて。笑わすな
 よ餓鬼、だれもてめえ様の命
 なんていりゃしねえ」


 「え…………、?ぁ……」


 混乱した頭の中、臨也の口か
 ら間抜けな声が漏れる。そし
 て四木は、臨也の襟元を掴み
 口を開いた。



 「お前の体をよこせ」




 心臓がどくんと音を立てる。


 それは臨也にとって、殺され
 ることよりも恐ろしいことだ
 った。





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 なんだかgdgdかつdrdrと長く
 続いてしまった……←此処の
 四木臨はいつもパターンが決
 まっててつまらないですよね
 ごめんなさい!(涙)



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