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 二人で職員室に呼び出された
 後。

 臨也が握っていた教師達の弱
 みを利用して、停学や裁判に
 なったりはしなかった。

 が、教師達は口を揃えてお前
 達は喧嘩をやめて仲良くなり
 なさいと言った。


 「あの子左足骨折して、皮膚
 がちょっと切れたって。警察
 沙汰にならなくてよかったね
 え?あの子家出して来て独り
 暮らしだから親が出てくるこ
 とは無いと思うけど。俺に感
 謝してよね、しーずちゃん」


 臨也はうふふ、と笑う。

 今二人は都内の病院に搬送さ
 れた女子生徒の様子を見て謝
 りにいった帰りで、池袋の通
 りを歩いている。


 「やけにシズちゃんおとなし
 いね、気持ち悪いんだけど」


 「なあ臨也」


 「……なに急に?」


 「やっぱり俺は、人間と関わ
 っちゃいけねえのか?」

 「……なんだよ急に」


 急にそんなこと聞かれても、
 臨也はそんな表情をしていぶ
 かしげに静雄を見る。


 静雄のいつもの狂暴な目は、
 後悔と罪悪感で暗く沈んでい
 た。

 「いつもそうだ、……俺はた
 だ平和に過ごしていたいのに
 、なのに…、こんな力いらね
 えんだよ!!!」


 「ちょ、シズちゃん!愚痴な
 ら聞いてあげるからとりあえ
 ずここで暴れたり大声上げる
 のは止めて」


 いきなり街中で大声を上げた
 ら、通行人は何だ何だと二人
 を凝視する。

 まだ完璧ではないが情報屋に
 なりつつある臨也にとって、
 必要以上に目立つことは避け
 たいのだ。


 「ほら、!こっちの道でなら
 叫んでいいから、……!?」


 臨也が静雄を裏通りへと案内
 して一息ついた瞬間、目の前
 の男を見て全身が凍るような
 錯覚に陥った。


 「四木、………さん…!?」


 「……こんにちは折原さん。
 まさか昼間から池袋で会うと
 は思いませんでしたよ」


 「俺、こそ、こんなところで
 四木さんとお会いするなん、
 て!偶然ですね」


 言葉が上手く紡げず、全身が
 怯えに支配される。


 臨也は四木が嫌いだ。

 それはただ話がしづらいから
 では無い。無愛想たがらでも
 無い。



 裏社会へ首を突っ込み始めた
 臨也を、かつて散々犯したか
 らだった。

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