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□さよなら、いとしいひと
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 ※死ネタです!











 「いーざーやーああぁ゙!」


 平和島静雄は、怒っていた。
 仕事が早く終わり、トムと別
 れた後街をぶらついていた。
 そこで見慣れた黒いコートを
 見つけ、無意識に目を向けた
 のが間違いだった。臨也と目
 があってしまったのだ。

 「……シズちゃん……」

 いつも会う度に喧嘩をしてい
 る二人。しかし、今日はたま
 たま会った訳ではなさそうだ
 った。臨也は静雄を探してい
 たらしい。臨也は頭に血管を
 浮かべた静雄を見て、悲しそ
 うに、嬉しそうに、目を細め
 た。


 「お前とっとと新宿に帰りや
 がれ!!」

 「…………」

 自販機に手を掛けた静雄を見
 て、臨也は呟いた。


 「うん、ばいばい……」


 「…………あぁ?」

 臨也は顔を俯いて走り出す。
 いつもなら反論してくる筈の
 臨也は逃げ去っており、もう
 静雄の視界には入っていなか
 った。静雄は自販機を戻した
 。と、同時に。


 ピリリリリリリ

 無機質な携帯の着信音が、バ
 ーテン服のポケットから鳴り
 響いた。それは新羅からの電
 話。静雄は臨也を追おうとし
 た足を止め、通話ボタンを押
 した。

 「「もしもし静雄!?」」

 「ああ、どうしたんだ?」

 新羅の声は、明らかに冷静さ
 を失っている。

 「「臨也を見なかったかい!?」」

 「……ノミ蟲ならさっき逃げ
 てったぞ」

 「「……!?………そっか…」」

 「何だ?何かあったのかよ」

 「「いや、何でも無いよ!あり
 がとう。じゃあ、またね」」


 こうして、新羅からの一方的
 な電話は切れた。静雄は疑問
 に思いながも、携帯電話をポ
 ケットにしまうと、ムカつく
 情報屋の顔を思い浮かべなが
 ら自宅へ向かって歩き出す。








 もう、臨也と二度と会えない
 事など知りもせずに。

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