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 離された口から荒い呼吸が漏
 れる。

 「……っ意味わかんない…」


 「黙れノミ蟲」

 「じゃあ……っノミ蟲なんか
 触ってないで消えろよ…!」


 止まる事なく臨也の頬を涙が
 伝う。止まらない。


 「しね……だいっ嫌い…」


 静雄は泣きはじめた臨也など
 構わず、コートの間から見え
 るVネックに手をかけて破り
 裂いた。膨らみのない胸の突
 起に舌を這わせて、体じゅう
 に無数の跡を残していく。


 「ぅ……ぁやめ……やだ!シ
 ズちゃ……っ」


 「黙ってろよ。もう二度と女
 の話なんて出来なくしてやる
 」


 気持ちいい

 否定し続けていられるのも時
 間の問題だ。体は素直に快感
 を拾い上げて、甘い声が溢れ
 だす。
 無理矢理犯されて感じている
 自分が恥ずかしくて恥ずかし
 て、死にそうだった。


 「……っ……!」

 静雄は乳首を弄ぶのをやめる
 と、臨也のズボンを脱がし始
 める。

 「!?何してんのっ……ちょ
 っとまって……っ」


 「黙れって言わなかったっけ
 かぁ?臨也くんよお」


 泣きながら拒む臨也のズボン
 と下着をぬがすと、静雄は先
 走りで濡れたそれに手をのば
 す。

 「ふざけんな……!やめっ!
 嫌だ…ほんと、」


 静雄はまだ拒み続ける臨也の
 腹を蹴ると、衝撃に耐えきれ
 なかった臨也は、ドアに寄り
 かかったまま座りこんだ。普
 通ならドアごとぶっ飛んでい
 てもおかしくないほどの強い
 衝撃を、細い体で受け止めて
 遠退きそうになる意識を必死
 に保つ。


 「っ……、か、は!!」


 静雄は座りこんだ臨也のもの
 を扱いながら、再び唇をふさ
 ぐ。

 「ん……ん、〜〜っ」


 逃げては追い付かれる舌が絡
 みあって気持ちが悪い。しか
 し快感からは逃げられず、臨
 也の自身は緩やかにそりあが
 っていく。痛みが完全に快感
 に変わっていく前兆だった。
 ふいに唇が離れ、静雄が口を
 開いた。

 「彼女なんか……作んなよ…
 …」

 「?シズちゃ……」


 唇が離されたよりも、この男
 に犯されていることよりも、
 静雄の頬を伝っている涙に驚
 愕した。

 本当はいないのに。
 彼女なんかいないのに。
 キスだってしてない。Hだっ
 てSEXだって、したことない
 のに。


 「……いないよ」

 「……は?」


 臨也は決意して口を開く。

 「彼女なんかいない……キス
 なんて誰ともした事ない……
 !ちょっとからかっただけだ
 ったのに…っ」


 こんなに泣くなんて俺らしく
 もない。


 涙が止まらくて。静雄はただ
 呆然としていた。


 「な……だってお前…!さっ
 き出来たって…!」

 「全部嘘だよ……っこんなこ
 とだって今日が始めてだし、」


 「お前…初めてだったのか…
 ?」

 「…………」


 体のあちこちに血や唾液が滲
 み、無理矢理破かれたシャツ
 のはぼろぼろの布切れになっ
 ていた。跡と傷だらけの体は
 とても痛々しくて卑猥だ。

 「俺、……勘違いして…」

 「……シズちゃんの馬鹿」


 そう言った臨也の体は、次の
 瞬間宙に浮かぶ。静雄は臨也
 を抱えあげ、リビングまで歩
 いていった。

 「シ……シズちゃん…?」

 歩を刻むごとに滴る血が生々
 しい。無表情の静雄は、何も
 答えずに臨也をソファに座ら
 せる。

 「急にどうしたの……?」

 「俺…お前のこと好きだ」

 「………」

 「だからムカついた。彼女が
 できたって聞いて、ふざけん
 なって思った」

 「何言ってんのシズちゃん?
 俺男だよ?君の大っ嫌いな臨
 也だよ?頭おかしくなった?
 あ、元からか」

 「知ってる」

 「……」

 「無理矢理襲って悪かった。
 服、洗うから。風呂も貸すか
 ら、今日は帰れ」


 すごく悲しそうな顔をした静
 雄。臨也はそんな彼を初めて
 みた。全く今日は初めてが多
 いな、なんて悠長なことを思
 ったりした。

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