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 「……ん、」

 目が覚めたのに、視界がはっ
 きりしない。

 四木が帰ってから、どれくら
 いの時間が経ったのかわから
 ないが、どうやら気絶してい
 たらしいと判断した臨也は、
 ベッドから起き上がろうとし
 て体が動かないことに気がつ
 いた。

 「い……、った……」


 腰が重くて動かない上に、熱
 のだるさで関節が言うことを
 きかない。足や腕も痣だらけ
 だし、腹の中に入ったままの
 精液が、なんとも不快だ。

 「最悪……。薬も取りに行っ
 てないし」

 臨也は、はあと溜め息をつき
 、再びベッドに身を沈めた。
 体が熱い。重い。痛い。

 (……シズちゃん、変に思っ
 たよね。何で声出しちゃった
 んだろう)


 あのとき、静雄が臨也のマン
 ションを訪れたとき、呼び止
 めずにいればよかった。そう
 すれば、静雄はそのまま気づ
 くことなく家に帰っただろう
 、と後悔が渦巻く。

 ずきんずきんと痛む頭で思考
 をめぐらせたが、頭は痛くな
 る一方で、臨也は再び意識を
 失いかける。

 「いた、……っ、げほっ、や
 ば……」


 頭ががんがんと痛み、咳が止
 まらない。

 意識がだんだん薄れて行くの
 に、抵抗することは出来なか
 った。無意識に目から涙が溢
 れて、とまることなくぼたぼ
 たとシーツを濡らしていく。

 臨也の意識は静かに遠退いて
 いった。



 *************


 「臨也、」


 その後新羅から、薬を渡して
 きてくれないかな、と頼まれ
 た静雄は、苛立ちの余りに貧
 乏ゆすりしながらも、臨也の
 マンションへやってきた。

 先日同様、中から返事はなく
 、静雄が壊したままのノブを
 捻った。

 「……」

 頭のなかが嫌な予感でいっぱ
 いになる。もしかしたらまた
 あの男がいるんじゃないのか
 と、また胸がちくりと痛くな
 るのだ。

 静雄はそのまま部屋に入りリ
 ビングを見渡し、誰もいない
 事を確認すると、寝室へと足
 を運んだ。

 「臨也、いんのか?」

 帰ってくるのは沈黙だけ。
 

 がちゃ、と扉を開くと、ベッ
 ドで臨也が寝ていた。

 あの男がいないことに少しだ
 け安堵して、静雄が臨也に声
 をかけた。

 「おい、起きろ……?」


 明らかに臨也の様子がおかし
 かった。服はびりびりだし、
 痣と血だらけだし、呼吸がお
 かしい。

 「……」


 静雄は痛々しい臨也をみて考
 えた。これはまるで強姦され
 たあとのようだ、と。

 「……、シズ……ちゃ、助け
 ……」

 「!?」

 うなされている臨也の寝言に
 自分の名前が出たことに驚き
 、静雄はとっさに臨也の額に
 てをおいた。

 「熱ありすぎだろ……!」

 臨也は、苦しそうに呼吸をし
 ながらうなされている。

 静雄が臨也の上半身をむりや
 り起こすと、臨也が目を覚ま
 した。

 「、シズちゃん……?」

 「お前どうしたんだよ!?」

 静雄が訪ねると、臨也はうふ
 、と辛そうに笑った。

 「ちょっと色々あって……ね
 、風邪ひいちゃ、った」

 「風邪のことは新羅から聞い
 たからわかる!お前無理矢理
 なんかされたのか!?」

 臨也は少しだけ俯いて、あは
 、と笑って見せた。

 「全然、平気……だよ?腰、
 気持ち悪いだけ」


 ね?と言う臨也に、静雄は普
 段の臨也と全くの別人に感じ
 る。
 怒りはとっくにうせていた。


 「……薬飲めるか?」

 「持ってきてくれたの…?」

 静雄は薬を見せて、水をとっ
 てくると言うと、臨也はいい
 と断った。

 「ごめ、……ん、お風呂入り
 た、い」


 静雄は最初なんのことだかわ
 からなかったが、臨也が腹が
 嫌だ、気持ち悪いと煩く呟い
 ているのを聞いて事情を察し
 た。

 「……手伝うぞ?」

 「な、!?、いいよ…悪いし
 ……」


 ぼそっと恥ずかしいし、と呟
 いて、臨也は顔をふせた。

 「げほ、……っ、じゃあ、入
 ってくるね、」

 フラフラとした足取りで風呂
 場まで向かう臨也に、とうと
 う静雄が痺れを切らした。

 「ほら、入るぞ」

 「……っ、げほ、ごめん…」

 臨也はもう諦めたようで、抵
 抗することなく破かれた服を
 脱がされ、シャワーの前に立
 たされた。

 静雄が自分のズボンの裾をめ
 くり、シャワーの水を出す。
 臨也は大人しく静雄につかま
 っていた。


 臨也の体中の痣を見ないよう
 にして体を洗い、頭から暖か
 いシャワーをかける。

 「っ、ありがとう、……シズ
 ちゃん、下は自分でやる、か
 ら……」

 静雄は一瞬躊躇ったが、臨也
 の足を開かせると、そのまま
 指を突っ込んだ。

 「ひゃ、っ……、痛……、シ
 ズちゃん、すとっぷ、」

 たまったままだった白濁した
 液体が流れでて、臨也が身を
 よじらせた。

 「シズちゃ、……ほんと、あ
 っ、いいから…」

 「そんな顔して断られたって
 説得力ねえから」

 臨也は顔を真っ赤にして静雄
 の髪を引っ張りはじめた。

 「ばか、……っ、恥ずかしい
 ……っ」

 ぶちぶちと金髪がぬけて、足
 元に落ちていく。

 中を探って掻き回されるたび
 に、体が反応して疼いていっ
 た。

 「っ、ん……あっ、…っ」

 シャワーから出る温水が床に
 あたって、冷たくなって跳ね
 返った。臨也は立ったまま壁
 に寄りかかり、足を開かされ
 ている状態だ。


 しばらくその状況が続き、臨
 也が掠れた声で文句を言った
 ところで静雄はシャワーをと
 めて、ばさっとタオルを投げ
 つけた。

 「とりあえずこれで平気だろ
 、まだ変な感じするか?」

 「しないけど、……最低、自
 分でやるって言ったのに」

 臨也はタオルにくるまり、静
 雄のあとについで浴室から出
 た。

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