獣と人

□得体の知れない羊
1ページ/14ページ

…紛争が起こる前、ここら一帯全てが人間の住む土地だった。
盆地の中心に都市が開発され、周囲の山々の濃い緑と不自然でいながらも、妙に調和した街…

萌葱市(もえぎし)

この盆地は高地にあるのと円の一部分が欠けたような特殊な地形のため、盆地特有の夏のすごしにくさがほとんどない。周年すごしやすい気候と美しい自然と山の幸を誇り、主に富裕層の避暑地として賑わっていた。
だが、各地で起きた人と獣人による紛争はここにもおよび、豊かな自然が獣人に味方して、人は他の街へ撤退せざるおえなくなってしまった。
残されたのは廃墟と化したアーケードモールや蔦に覆われつつあるビル群に、緑に押しつぶされそうな下町などが、なんとか原型を留めて残っていた。
今は獣人達が好き放題に改築して住み着いている。

それがここ数多にある獣人居住区画…通称【獣の国】の1つ、緑に飲み込まれつつあるような見た目からモスグリーンクレーターと呼ばれている。
都市内部は瘡蓋(かさぶた)のように稚拙な改築や改修をしてあるため、非常に入り組んだ構造をしている。
また、肉食系統の獣人種が多く内部調査は非常に困難を極めるだろう。

…獣人居住区画調査書より抜粋…
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ