獣と人

□変わり者
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【隣に贄】
・日々代わ映えもなく、いつものスーパーで買い物をして夕飯をつくって風呂にはいって寝て、また単調なベクトルに嵌る毎日。
平和で何よりだ。
そんな日常の野郎がここにいる。

申し訳程度な大きさのベッドに巨体の虎男が半裸で寝ていた。
ベッドは今にも壊れそうな音を響かせている。
太い尾をゆらしながらうっすらと目を覚まし、寝ぼけ眼でちらりと枕元のデジタル時計を見れば昼前
(…ゴミ捨て損なったな)
のっそりと立ち上がりふらふらと台所へ向かい。
冷蔵庫から冷えた麦茶を、がぶ飲みしたあと何気なく部屋を見回す。
「………」
散らばった衣類や雑誌や小物やらが散らかったよくある男の一人暮らしの風景。昼飯になりそうな遅い朝食を作りながらさもうんざりと溜め息をつく。
そろそろ精神的肉体的に宜しくない。


騒音を出す大嫌いな掃除機をかけ、服をチェストにしまうなど精神衛生上の負荷の軽減化をはかる。「…………」
片付けが終わり、休憩に台所から麦茶とせんべいを持ってこようとした矢先に玄関から呼び鈴がなる。
面倒そうに玄関へ向かい扉を開けると
『こんにちは、お忙しいところすいません。』
と人間種の女性が笑顔でそこにいた。
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