誠綾学園
□第二話
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シャッ
カーテンを開ける音と共に、降り注ぐ日の光。
ちなみに自慢ではないが、俺は朝が強いほうではない。
よって、必然的にカーテンを開けたのが俺ではないことがお分かりだろう。
「ほら、篤姫!朝だよ、起きて」
じゃあ俺の部屋に不法侵入してきた輩は、馬鹿脩平か?
と寝ぼけた頭を回転させ導き出した解答は、どうやら間違いだったらしい。
この清々しい朝にぴったりな澄んだ声は…。
「…ゆ、い?」
「僕に決まってるでしょ!寝ぼけてないで起きて。遅刻するよっ」
ああ、やっぱり由か。
俺の疑問は一つ解決された。
「無理…あと3秒……」
「3、2、1。はい、起きようね」
由、お母さんみたいだ。
…いや、俺よく知らないけど。
「……学校行きたくない」
「何言ってんの!今日が初日だよ、いいから早く起きて」
「…わかりました」
「じゃあ、僕はリビングにいるから」
そう言い残して俺の部屋を後にする由。
そういえばなんで由が起こしに来てくれたの?
そんな素朴な疑問ですら許さぬような由の急かす声に、俺は布団から芋虫のようにもぞもぞと出て、着替えを始めた。