その他アニメ・マンガ部屋

□副部長
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鏡夜が席に戻ったのを見届けて、茉鴉夢はもう一度溜め息を吐いた。

「まぁね、茉鴉夢の行きたくないって言うのは分かるよ?」
「確かに」

亜夢とえるむは頬杖をついて言った。

「あんたが好きなの……接客しない相手、だもんねぇ」
「ま、その相手からお誘い受けたんだから行けば?」
「行くよ?すぐ帰るけど」

茉鴉夢は言った。

「帰っちゃダメじゃん!」
「来い、とは言われたけどさ、すぐ帰るなとは言われてない」
「鳳君呼ん……」

茉鴉夢は、亜夢の腕をしっかり掴む。

「なーにすんのかなあ?」
「呼んで来ようと……」

茉鴉夢がにこりと微笑む。
亜夢の代わりに行こうとしたえるむの腕もしっかりと掴んだ。
亜夢、えるむは黙って座る。

「私の事は良いから」
「諦めんの?」

えるむが悲しそうに聞く。

「うん。確実にフラれる」
「分かんないじゃん!」

亜夢も悲しそうだ。

「私、鏡夜の笑った顔なんて見た事ないよ。他の女子には笑うみたいだけど」
「作り笑顔かもしれ……」
「その作り笑顔すら見せてくれない。そんなんじゃ、希望なんてないよ」

思わず涙が出た。
茉鴉夢は涙を隠すように俯く。

「茉鴉夢」

亜夢が優しく茉鴉夢を抱きしめた。
えるむも頭を撫でる。

「大丈夫だから……ね?」

亜夢とえるむはただ慰めるだけしか出来ない自分が悔しかった。
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