相手自由部屋
□喧嘩
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がやがやと騒がしい教室。
何時もの風景。
そんな教室の一角。
不機嫌をそのまま顔に貼り付けた様子の男子生徒が座っていた。
その空間だけ、隔離されているかの様にも見える。
「はよー。あれ、えどどした?」
「信、そっとしとけ」
えどに話し掛けようとした信は、直にそっと止められる。
「ありゃりゃ、不機嫌だなあれ」
「まあむと喧嘩したらしい」
「何でまた?」
「さあ……?」
信が首を傾げた。
すると、えどが静かに立ち上がり、そのまま信と直に歩み寄る。
「何だよ」
一言そう問い掛ける。
問い掛けとは程遠いくらいの低い声で。
「べ……別に……?」
二人は同時に目を逸らした。
がら、と教室のドアが開く。
三人は一斉にドアの方に視線を向けた。
やはりえど同様に不機嫌を顔に貼り付けた様子の女子生徒が居た。
「まあむおはよー……?」
「おはよ」
信の言葉に一言だけ返して、直ぐに自分の席に座る。
何ともいたたまれない空気である。