D.Gray-man部屋

□香り
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思いがけない事にドアを開けたまま固まる私を、コムイはにこにこと見ている。

「取り敢えず入っても良いかな」

そう言って、私の返事も聞かずに部屋に入るコムイ。
何がしたいんだ。

「え、コムイ何で、仕事は」
「抜け出してきたんだよ」

悪戯っ子のように笑う。

「また怒られるよ」
「構わないさ。それよりマアム」

ぐいっと腕を引っ張られ、コムイの腕の中に収まる。
ふわりと珈琲の香り。

「任務お疲れ様。昨日は出迎え出来なくて悪かったね」
「……仕事あるんだから仕方無い」
「でも僕は寂しかったんだよ、マアム」

早く帰ってこないかなって思ってた、とコムイは笑う。

どうしてだろう。
珈琲の香りが好きじゃないのに。
コムイに与えられる温もりと共に香る珈琲の香りが、私を安心させる。

きっと。
またこの人の所に帰って来られたのだと。
そう思うからなのだろうけど。
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