ポケモソ・ゴシル

□甘いものが好きなもの。
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「甘いものが好きなもの。」



甘い香りがする。
甘いのが好きらしいそいつは、元から甘いココアにさらに砂糖を追加して美味そうに飲んでいる。
満面に笑顔を浮かべて。
「美味しいー!やっぱ砂糖ココアが1番だな!」
「…」
「んー?シルバーも欲しいのか?」
「いる訳無いだろ、そんな甘いだけのもの」
「えー?」
そいつ…ゴールドは、それが美味いのに、とぶつぶつ言いながら、カップを両手で持ったまま、また口を付けた。
…そんなの飲んでたら、体中の血が甘くなりそうだ。
「…シルバー、甘いの、嫌いか?」
「嫌いでは、ない」
「じゃあなんでだよー」
ゴールドは近くにあった菓子の中から一つ選んで封を切った。
…チョコレート。
「…またそんな甘いものを」
「だって今スナックなんか食ったら辛いし、」
ゴールドはチョコレートを口の中で転がしながら、まだ封を切っていない同じものを出して、俺に差し出した。
「美味いんだよこれ」
突き返すことも出来ず、とりあえず受け取る。
ゴールドが期待に満ちた瞳で見つめてくるせいも有って、俺は比較的すぐに封を切ってチョコレートを口に放った。
「どうだ?美味いだろ?」
「…美味い」
これは、ゴールドに言わされた言葉では無かった。
確かにそのチョコレートは美味かった。
チョコレート自体は確かにかなり甘かったが、中にクッキーが入っていて、なかなかいい感じに甘さが押さえられていた。
「だろー?これをこの砂糖ココア飲みながら食うのが俺の最近の贅沢なんだよなー」
「安い贅沢だな」
「安くねぇよ!これ、一箱200円オーバーなんだぜ」
「…」
ゴールドは、ふっと息を吐いて、
「シルバーも無いのか?そーいうの」
と、俺に向いて言った。
「無くは、ないな」
「なにその言い方」
少し笑って見せ、近くにあったチョコレートを取り、封を切る。
「なんだよ?教えろよー?」
「…」
黙っていると、ゴールドは悪戯っぽく笑った。
「あー?…もしかして、俺といるときとか?うっわ嬉しいー!」
「…」
わざとらしく言ったゴールドに、俺は無言でデコピンをかましてやった。



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20100301

ゴールドは甘いものが大好きだと良いと思います。
シルバーは嫌いではないけど好きでもない、が良いと思うんですけども。

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