ボクタイ・サバジャン

□雨水が透明。
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「雨水が透明。」



雨が降っていた。
いつも雨の日は気持ちまで曇ってしまう気がする。
だからギジタイもずっと砂漠気候とかにしてたいぐらいだけど、サバタがそのとき少し嫌そうな顔をするから、なかなか言い出せなくて。
今日も無難に温暖湿潤気候。


剥き出しの肩にぱたぱたと雨粒が落ちてははねていた。
いつも跳ねた髪の毛も少ししんなりした感じがする。
服にじわじわと水が染み込んで重くなってきた。
「ねぇ、サバタ」
「何だ」
「雨だね」
「雨だな」
サバタはそう言いながらも横から飛んで来たバットをヴァナルガンドで切り捨てた。
「…ボク、雨は嫌いだなあ」
「そうか」
サバタは半分聞いていないような態度で、今度は飛び掛かって来たスライムを切り伏せる。
「…オレは、そこまで嫌いじゃないな」
「えっ」
サバタが話に乗ってくれたのが嬉しくて、ボクは思わず声をあげながらも、走ってくるヴォーンにドラグナーを向ける。
「じゃあ、サバタは濡れてもいいの?」
「まあ、乾かせばいいしな」
ドラグナーのブレスから逃れたヴォーンを切り捨てながら、サバタは答えてくれた。
うん。ちゃんと会話だ。
「ふーん…ボクはもう濡れるってだけでがっかりなんだけどなあ」
「…まあ動きは鈍るな」
「うーん、まあ、そんな感じ…かな?」
また現れたバットに、今度はボクがナイトを向ける。
前より命中率も上がった気がする。
小さなバットを一発で仕留めた事に内心ガッツポーズしながら、サバタを振り返る。
「サバタ?」
「…、」
急にサバタは雨雲の広がる空を見上げた。
「…雨、降れば血が流れるだろう?」
「へ、」
軽く首を傾げながら、サバタの視線に合わせて上げていた視線を下ろして、もう一度サバタを見る。
サバタはヴァナルガンドを雨に少し晒して振った。
…確かに、綺麗なように見える。
遠くから敵を仕留めるボクと違って、サバタは近距離型だ。
確かにヨルムンガンドやヘルを使えばちょっとは遠くになるにしても、しっかり、と言ったらおかしいかもしれないけど、返り血を浴びている。
だから雨がちょうどいいシャワーになるのかもしれない。
でも。
「…やっぱ、ボクは雨は嫌いだなあ」

サバタの白い肌に飛んだ返り血が綺麗で好きだから、なんて言ったら怒るかな?



−−−−−
20100301

子供は雨があんまり好きじゃないと思います。
いや、好きなのかな…?どうなのかな。
サバタは暑いの苦手だと可愛いと思います。色とか。

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