リボーン・獄ツナ

□殺し屋は笑って愛を囁く。
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「殺し屋は笑って愛を囁く。」



「分かってたのに、な…」
獄寺君は、自嘲するように言った。
「獄寺君…?」
「十代目、貴方を俺は殺すんです」


獄寺君は俺に話してくれた。
獄寺君は俺に出会う前から俺を知ってて、それは標的としてで。
俺に従うふりをしてたんだと、教えてくれた。
俺のこと守るふりしながら、少しずつボンゴレの情報を流してたことも。

「そして、俺は貴方を…標的を愛してしまった」
俺を愛してしまったとも、言ってくれた。
「俺は貴方を殺さなくてはならない。でも貴方を殺すなんてことは俺には出来ない。それでも貴方を殺さなければ俺は殺され、俺からの情報で遅かれ早かれ貴方も殺される」
「ねえ、十代目。俺は貴方が殺されるなら、貴方を俺が殺したいと思うんです。でも貴方が死んでしまったら俺は生きてはいけない」
「十代目、俺のことどう思いますか?」
「こんな俺を、殺したいと。そう思いませんか?」

「殺したいと、…殺してくれませんか?」

獄寺君は、俺に笑う。
獄寺君らしくないよ。どうして俺にそんなこと言うの。
いつもは獄寺君の言うことはだいたいすんなり理解出来るのに、今は全く分からないよ…!
獄寺君は俺を殺したいの?殺したくないの?
俺が獄寺君を殺す?殺さない?
獄寺君は何を望んでいるの?
「獄寺君は、俺を本当に好いてくれているの?」
「獄寺君は、俺を本当に好きでいてくれたの?」
獄寺君は、貼り付けたような笑顔を崩さないままで、俺に言った。
「貴方を愛している事。それが偽りだらけだった俺の中で唯一の真実でした」
獄寺君の言葉の嘘と本当がぐるぐる渦を巻いて混じり合っているような感じがする。
その渦に絡めとられるように俺の口からは言葉が出てこない。
ただ、酸素を求めるようにぱくぱくと口を動かすだけ。
ねえ、それは本当なの?
優しさじゃないの?
偽りじゃないの?
君を信じていいの?
聞きたいことは沢山有るんだ、でも聞けない。


しばらく黙ったまま、俺達は向き合っていた。
その沈黙を破ったのは、獄寺君だった。
「貴方を愛していた、それだけは本当です。…貴方が好きだった。でも、…貴方を俺は殺さなくては、ならないから」
「うん、そうなんだ…」
獄寺君は俺の言葉に一瞬だけ笑顔を崩し、それからまた笑った。
「…また、次にしましょう。十代目、お疲れでしょう?」
「…うん、疲れちゃった」
「紅茶でもお入れします」
自然に、俺達は手を繋いだ。
殺し屋と標的は、手を繋いだ。



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20100813

書いててよくわからなくなりました。
自分でも分からないのに人が分かるわけ無いじゃないと思いながら書いてました。
やっぱ疲れてんのかな…
でも書いてて楽しかったです。

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