リボーン・獄ツナ

□それじゃあ出掛けよう。
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「それじゃあ出掛けよう。」



十代目は今日もにこにこしながら俺の左側を歩いている。
ふわふわの髪の毛が歩くたびに揺れていた。
「獄寺君、今日は何が有ったかな?」
あまり変わらず高めな声。
「今日も書類を見たり、ですかね」
「…そっか」
そう言いながら、十代目はちらりと横を見た。
大きめの窓。
その向こうの青い空を。
「せっかくの晴れなのに」
「…そうですね」
十代目が言うことも、分かる。
確かに今日はまあ、お出かけ日和、ってやつだろう。
「あ、じゃあ十代目。今日の分早くやっちまって外、行きましょう」
「いいの!?」
ぱっ!と目を輝かせて言う十代目に、俺はですが、と念を押す。
「今日の書類まとめちまって、ちゃんと変装お願いしますよ?」
「分かってるよ、うん。…よし!早く行ってさっさと仕上げよ!」
「はいっ」


「でき、たっ」
十代目がとんとん、と書類を揃えて封筒に入れて、ふう、と息をつく。
「流石十代目、作業早いですね」
俺もパソコンを切って、顔を上げた。
書類の山の向こう、十代目は微笑んだ。
「うん。頑張っちゃった」
十代目は早速立ち上がって、近くのクローゼットを開けて、薄めのコートと帽子を取り出した。
「行こ?早く行かなきゃ時間無くなっちゃう」
「分かりました」
俺もコートを羽織って、もしもの為にと匣もいくつか鞄に入れた。
リングはカバーをかけてポケットに仕舞う。
「十代目、どうぞ」
「ありがとう」
手をそっと握りあって、部屋から出る。
出てすぐの所で待機していた部下に、誰か来た時の対応だけとりあえず頼んでから、俺達は廊下をハッチに向けて歩き出した。
「獄寺君」
「はい」
「何しよっか?」
「どうしますか?」
十代目は、うーん、と首を傾げながらしばらく考えていたけれど、思い付いたらしく、ぱっと顔を輝かせて、言った。
「あそこ。…最近行ってないから」
「あ、…はい、分かりました!行きましょう!」
あそこと言われて心当たりが有るのはたった1ヶ所だけだった。
「まだ有るかなー」
「話聞きませんから、無くなってはいないでしょう」
「だよね。…あっ」
十代目が急に立ち止まる。
「どうしたんですか」
「ちょっとね。でもたいしたことないから」
「そっすか?」
「うん。それより!」
十代目は大きく伸びをしてからまた歩き出す。
「遊ぶぞー!」
「はいっ」
それについて、俺もまた歩きだした。



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20100528

どこへ行くか考えていない訳じゃ無いんですがまたいつかで…
ベターな所にデート行かせ隊、って感じです。たまにはやりたくなる。
ごくつなは1番現実に近い所(と言っても多々ありえないことありますが)を歩いていると思うのでこういうことやりやすいです。

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