テイルズ・アシュルク

□同じ違う同じ違う同じ…違う。
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「同じ違う同じ違う同じ…違う。」



真っ赤な髪の毛は絡まることなく指の隙間をするすると抜けていく。
「…」
なんとなくそれがその持ち主の生き様なんてものを表している気がして、なんだか面白くない。
手を伸ばしても、絡み付くことはない髪の毛。
一本も指についてきてくれない。
「アッシュ…もう眠っちまったのか?」
「…」
やっぱり、眠ってしまったらしい。
「アッシュ、肌、白いな…」
オラクルで俺よりずっと沢山日の下に立ってるんじゃないかと思うんだけどなあ、なんて考えながら、顔の輪郭にする、と指を滑らせながら考える。
今アッシュはあのどうやって着るのか分からない服は来てなくて、薄手のシャツにズボン、という所謂寝巻のような物を着ている。
俺は全くこんな時間まで長居するつもりは無かったから、今の恰好は、いつもの恰好−(上着+手袋)ぐらいのもので、全く変わらないっちゃ変わらない。
「…ルーク…」
ぼんやり、呼んでみた。
「ルーク、ルーク…」
「…おい」
「ルー、ク…?」
「アッシュだ」
「…アッシュ、…うん、…アッシュ」
アッシュは不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、俺の事を睨むように見た。
「俺は、もう、ルークじゃない。お前がルークだ」
「…俺が居なかったら、お前がルークだ」
「そんな仮定が何になる。お前が居なくても、アクゼリュスで泥に沈み『ルーク』は死んでいた」
アッシュは俺の髪の毛に指先を絡めた。
「お前が、居たか居なかったか。それだけだ。『ルーク』はどっちにしろ死ぬ運命だったんだ」
「でも…アッシュは、バチカルが好きだったんだろ?」
「…お前が好き、じゃ、駄目なのか」
「…ずるいけど…駄目じゃないけどさ…」
「じゃあいいじゃねぇか」
アッシュは俺のそれ以上の反論を無理矢理遮って、髪に絡めた指を、つつ、と滑らせて顎を軽く持ち上げる。
「まだ俺がもしルークなら、お前と会うことは無かった」
「…まだアッシュがもしルークだったら、俺は居なかった」
アッシュと共有する部分が有るわけでは無いのに、同じ存在なんておかしいと思う。
俺が存在する場所には既にアッシュは立っていないし立つことは不可能に近い。
たとえ俺が存在しなければその場所はアッシュのものだったのだとしても、俺はその場所をまるまる喰ってしまった。
名前だって、アッシュは「ルーク」という名前を嫌ってしまっている。
「…おかしい」
「何がだ」
答えを返せるほどのものを俺は持たない。
ただアッシュは俺を見ていた。
完全に同じ瞳で、見ていた。



−−−−−
20100825

中途★半端!
何がしたいやら分からなくなってきました。
多分これがこの歳で書く最後の文かなあ…
間に合えば…もう一個…?

とりあえず、完全同位体っておいしい。

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