命のナマエ

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レゴラスは眉間に皺をよせていて、仁王立ちしていた。


あきらかに修羅場では?
あたし関係ないし、逃げよう。

そう思ってそろりと立ち去ろうとした時、レゴラスのパパに手を掴まれた。



「お嬢さん」


「はい?」


「わしに少し、手を貸してくれぬか?」


あれ、なんであたし逃げようとしてるのに、
この人に手を捕まえられているの?


ぎゅっと手首を引っ張られたので、
美形な顔がものすごく近くに合った。



「私に出来ることであれば…」



美形を前にして断る人などいるだろうか。
そうでなくても、頼みを断るなんてなかなか出来ることではない。


灰蓮は隙を見て逃げ出せばいいかくらいに考えていたが、それが甘かった。



「では、きまりだ。」



彼にそう言われ、手首を強く引っ張られたかと思うと、
その人の腕に抱えられたまま馬にまたがった。



「(いったい何故!!??)」



「逃げるぞ!!」


「まってください、父上!!」


追いかける、レゴラス。



「まてと言われてまてるか!!」


「父上!!」



そして、巻き込まれるあたし。



・・・いやいやいや、あたし関係ないでしょ!?


しかもスランドゥイル王、
あたしの必要性は明らかにゼロでは?



とにかく今はそんなことよりも。




「もう離してぇぇぇぇ〜!!!」




灰蓮の叫び声が森中に響いた。
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