命のナマエ

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「父上っ!どこです!?」



声をした方向を振り向けば、突然馬が飛び出してきた。



「きゃあっ」


「娘、ケガはないか?」



あたしはその場にしゃがみこんでいたため、馬に踏みつけられそうになった。
その声の主は馬をおりて、あたしの元に駆け寄ってきた。
声は低く口調も年を感じさせるもの。

怒鳴り声の主とは別人らしい。




まず目に止まるのは尖った耳。
透き通った緑の瞳。

鮮やかな金色の髪は少しウェーブがかかっていて腰以上あるのかもしれない、エメラルド色の服を身につけている。

頭には木の実や葉をあしらった冠に、大きな宝石の首飾りをしている。


というか、宝石つけすぎでは?


美人だけど優美―とは少し違うのかもしれない。
とにかく派手だ、派手なエルフだ。



「ええ、大丈夫です。」

「珍しい、人間の娘とは。何処をどうやって入ってきたんだ?」


不審な目をじろっと寄せられるも、完全によそ者なのでしょうがない。

特に森のエルフは警戒心が強いと聞くし。(ガンダルフが言っていた。)



「えっと、迷い込んでしまって…ここ何処ですか?」


「なに、知らず入ってきたのか。危険にもほどがあるぞ。」


「すみません。」


顔が近付くほどに誰かに似てるようなそんな感覚に襲われた。
それはすぐに浮かんだ。


「(あれ…やっぱり…)」


目の前の派手エルフさんは気にすることなく、何か考え事にふけっている。

その時、いきなり怒声がその場に響いた。



「父上!!」


ギク…


父上と呼ばれた派手エルフは動きを止めた。



「ここにいらしたんですね。」


そう言って馬を降り、こっちに近づいてきた話からして息子さん。


金色で編みこんだ髪に、深緑を基本とする落ち着いた服。
そして、背にかついだ弓と矢筒。


レゴラス。
予想した人物と同じだった。



ハレンは自分の隣にいるエルフを見た。


「(やっぱりこの人は、レゴラスのお父さん!
スランドゥイル様だ!)」

レゴラスと雰囲気が違っているけど、
確かにすごく綺麗な顔立ちとか、髪の色だってそのままだった。


「いや、人違いでは…」


スランドゥイルはひくひくと顔を引きつらせながら言った。
すると、レゴラスはニコリと笑った。


目は笑っていないから怖いです☆



「人違いとは。
私の思い違いでなければ、宝石だらけのエルフは一人しかいませんね。

さあ、父上。お戻りください!」


静かな口調から怒鳴り声に変わる。
あたしは思わず両手で耳を塞いだ。
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