命のナマエ
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「…ん…朝だ…」
あたしは目覚めて、ゆっくり体を起こした。
ベッドの隣には椅子があって、そこにガンダルフは腰かけて寝ていた。
昨日はあんなことがあったから、心配でついていてくれたのだろう。
彼の顔を見ると、目を開けて寝ていた。
「ふふっ・・」
あれからというもの、灰蓮は少しだけ笑えるようになっていた。
けれど、彼女がその事実に気づくのはまだ先のことだろう。
「わしはすぐにここを旅立たねばならぬ。
わしに助けを求めとる友がいる、フロドというホビットじゃ。」
あくる日、ガンダルフにそう告げられた。
そして、同時にあたしを裂け谷まで送る事も提案してくれた。
その地であれば安全なため、自分が元の世界に帰る道をゆっくり探せるし、その方法も時間もあるだろうと教えてくれた。
あたしはサウロンにも狙われているため、ガンダルフに着いて行くのは絶対。
でも、日本に帰るかまだ決められてない。
此処にいても危険だけど、
向こうにいれば安全とも限らない。
しかも、あたしは…この力を知ってしまった。
ガンダルフは今ならまだ戻れるというけれど、
正直あたしはそうは思えない。
「ガンダルフ、お願いがあります。
あたしを弟子にしてください。」
その言葉に、ガンダルフは少し驚いたようだった。
けれど文句も言わなかったし、怒鳴りもしなかった。
もしかしたら、ある程度予想してたのかもしれない。
「いいじゃろう。だが条件がある。
これを守らねば弟子にすることは出来ん。」
「…分かった、あたしはそれをガンダルフに誓うわ。」
その時、条件をのむことに迷いはなかった。
ガンダルフに約束をして晴れて彼の弟子となった。
今後この力を使いこなし、制御する方法を学ぶことだろう。
そして、あたしは元の世界の服を脱いだ。
その代わりに、彼と同じ色のローブをまとった。