命のナマエ

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そうしてホビットを追いかけていた俺は、
ギムリとは道を分かれてしまったようで、一人で探し回っていた。


自分には、アラゴルンほど、
足跡や小さなヒントを頼りに探す能力は、長けてない。

それでも、つたない記憶を辿り、
ホビットが走り去っていった方向を推測した。




「おーい!メリー!ピピン!」



あとは、何度も声を張り上げるだけ。



「一体、どこに…。」



途方に暮れつつ、あたりを見回していると、
しゃがみこんで身を隠しているメリーとピピンの姿を見つけた。



「あそこだ。」


と同時に、彼らが小さく縮こまっている理由が分かった。



周りに、複数のオークが立っている。



助けなければ…と、
鞘からするりと剣を抜いて、彼らの元に駆け寄っていた。



ーーーーーーーーーー


その頃、メリーとピピンは武器を手に、
オークに立ちはだかろうと飛び出していこうとするところだった。

俺は彼らの前にすべりこみ、目の前のオークを切り払った。



「大丈夫か!?」


「「ーーボロミアッ!!」」


振り返ると、
メリーとピピンは嬉々とした表情になる。




「此処は危ない、

戻って皆と合流するぞっ。」



そう言いながら、オークたちを蹴散らしていく。
ホビットは頷いて、俺のあとに続こうと剣をしっかりと構えていた。



だが、予想以上にオークが多い。



「ボロミア、危ないっ!」


また一体と倒したところで、
背後から別のオークが襲い掛かる。


いつの間にか、
オークは数十人を超す群れになっていた。



「くっ!」


剣を振り下ろしてきたオークの攻撃をなんとかぎりぎりの範囲で耐え忍んでいると、
近づいてきたオークが攻撃をしかけてくる。


「うおぉぉ!」


力任せに振り払い、距離をとった。



「メリー!僕たちも。」


「ピピン!ああ、いくぞ。」


ホビットの二人は背中合わせになり、声をかけ合う。



「いいか!俺から離れるなよ。二人とも!」



一気に敵の襲撃が増して、俺は無我夢中で剣をふった。



(…早く、誰か来てくれ!)



心の中でそう願いながら、
それまで持ちこたえ、必ず二人を守って見せると、闘志は燃えていた。
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