命のナマエ

□(24)
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――それからというもの、

私は色んな彼女の姿と表情を目にしてきた。



森の王国を出発する日。
彼女は、少しだけ泣きそうな顔をしていて、
私が「また案内するよ」と言うと、嬉しそうに微笑んだ君。


裂け谷に着いて、ミスランディアに再会するなり…。

「…ガン爺っっ…!!!」

そう言って飛び込んでいく彼女を見て、
少しだけビックリしつつも、本当は羨ましかったりもしたんだ。


もちろん、肝心の会議が始まって、
突然、ホビットがその場に乱入してきたと思ったら、ハレンの姿も混じっていたあの瞬間もかなり驚いたけど。



「それでハレン。そなたはこの場に居るが…」


問いかけるエルロンド卿に君はこう言ったんだ。


「あたしも行きます。行かせてください。」


まさか、旅の参加すると申し出るとは思いもよらなかった。



「本当に行くのかい?」


「うん、行くよ。」


迷いなく答える彼女の瞳は真剣そのもので、
その意思の強さが私には伝わってきた。


それでも、私は彼女を認めたくなくて、

目を逸らしてその場を去ってしまっていた。



その時はね…

何故こんなにも止めようとしている自分がいるのか分からなかったんだよ。


自分の中で君に対するたくさんの怒りや悲しみが沸いてきて、
感情のままに吐き出してしまいそうだった。



24 confident-確信-




「レゴラス、話したいことがあるの。」

「入って。」


君がその件で部屋を訪れてくれた時、
私はなんて自分勝手なんだろうと思った。




――君に関する詳しい事情は分からない。

その秘密はいまだ打ち明けられることはなくて、
私もそれでいいとさえ、思っていたのだから。




でも、彼女を傍で見てきた私は、
その不可思議な断片をずっと感じ取ってきたはずだった。


だから、君の抱えている何かが、

旅へと突き動かす理由が関わっているという事は頭では分かっているというのに…。



「あの、レゴラス?」


緊張した面持ちでそっと顔を上げるハレン




あの時ばりはいつもように冷静とはいかず、抑えが効かなかった。


ぎゅっと抱きしめる力を強くする。



そうでないと、君はいつかどこか遠くへと旅立ってしまいそうで怖かった。
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