命のナマエ
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――ハレンは、震えた声で告げた。
「…こんなあたしに…
幸せになる権利があるというの?」
その嘆きは、
まるで、神聖なものを宿した言葉のように、
私の心の奥に、響き渡った。
「“…この命に何の意味があるというの?”」
その問いは、
果たして自分に向けられたものなのだろうか。
それとも、彼女が自らの心に答えを見出そうとしているのか。
「レゴラスっ…」
ハレンは聖なる使者の証である、
銀色の指輪をぎゅっと握り締めたまま、私の名を呼んだ。
「あたしはっ…
生きていい、んだろうか…っ…。」
ハレンは、苦悶の表情で投げかける。
−―−“生きていくのが恐い…”
そんな心の叫びが聞こえたような気がした。
23 recollect-追憶-