命のナマエ

□(20)
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ロスロリアンが近づいていくほど、
レゴラスの表情は明るくなっていった。

アラゴルンも彼と同じように、
少し嬉しそうにエルフの地を語った。


ハレンは、どこからともなく吹いてくる穏やかな風に、

森の王国とも裂け谷とも違う…深い安らぎを感じていた。


ポプラの木々が辺りを包む。


静かだけれど、神秘的な森だ…とハレンは思った。


季節上は冬であるゆえに、
樹木たちは灰色の幹に、朽ち葉色の葉で覆って立ち尽くしているが、

にわかに、金色の光を帯びているように見えるのは何故だろう…。



「ねぇ、レゴラス。

ロスロリアンはシンダールの言葉?」


隣を歩く彼に声をかける。

裂け谷にいた時に、たくさんの言葉を教えてもらった頃が懐かしい。

エルフ語には主に、
シンダールとクウェンヤと2つの言葉があるらしい。

日常で使われているのは、シンダール語。
クウェンヤ語は、上のエルフ語といわれていて、一部のエルフしか知らないのだとか。



「そうだよ。
ロスは『花』で、ロリアンは『夢』の意味になる。

だから、花のロリアンとも言うんだ。」



エルフ語や、エルフの土地について語るときのレゴラスは生き生きしていて、
一層まぶしく輝いているように見える。




「きっと、ハレンも気に入るはずだよ。」



そんな彼の横顔が、森に美しく映えている。



一行の足取りも少しずつ軽くなり、
落ち込んだ気持ちも、不思議な安定感を取り戻していく。


ハレンは森の空気を味わいつつ、再び歩くことに集中するのだった。


20 secret-秘密-
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