命のナマエ

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最初に崩れた階段を軽々超えていくのは、レゴラスだった。
次にガンダルフ、メリーとピピンを抱えたボロミアがそのあとに続く。

アラゴルンがサムを投げて、向こう側にいたレゴラスは見事にキャッチする。

それを傍らに見ていたギムリが、
投げられるのだけは御免だと拒否して、一気に踏み切る。

わずかに距離が足りず、落ちそうになるところを、レゴラスがギムリの髭を捕まえた。


「うおっ、髭だけはやめろ!」


ギムリはわめいたが、こんな緊急事態では聞き届けられることはなく、
哀れなことにそのまま引き上げられた。


残るはアラゴルンとフロド、そしてあたし。


鳴り響く振動は強くなるばかり。

岩肌は砕かれ、その反動で転がり落ちた石が階段をどんどん削っていった。

バランスを失った階段はずり落ちて、前に倒れていく。



「ハレン!」


レゴラスがあたしの名を呼んだ。


「今だっ!!」


アラゴルンの掛け声で、あたしは意を決して飛んだ。
どさりと着地した瞬間、レゴラスに寄りかかるように受け止められた。


「ありがとう。」

「どういたしまして。さあ、行こう。」


ハレンは頷いて、先を急ぐ。

―――もう橋は目の前だった。


19 dear-親愛-
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