命のナマエ

□(13)
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力は、無残に人の命を奪い取る。


大きすぎる力は、不幸を呼び、人を貶める。


胸に抱く志も、


温かな命さえも、


全て消してしまう…。



やがて、絶望と悲しみだけの世界へと放り投げ、扉は閉ざされてしまう。



そして力は、人を孤独にさせる。


どれだけ力を持っても守れはしない。

どれだけ誰かを想っても救えはしない。




―ー―あたしが知っている『力』はそんなものだけだった。






13 decision -決断-







ついに、この日がやって来た。


会議を告げる招集の鐘が鳴っても、ハレンはその場所へ向かわなかった。

昨夜、ガンダルフから聞かされたのは、
『会議に出席するかはどちらでも良い』という情報。


あたしはサウロンや指輪と無関係ではないけれど、指輪そのものと関わりがある者ではない。


ガンダルフなりに気を使ってくれたのだと感じ、その提案に内心はほっとしていた。



やることも無いので、いつもの様に外へ向かう。


会議には参加してなくても、
裂け谷全体が緊張感に包まれているような気がして、何となく落ち着かなかった。
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