螺旋短編
□eyes
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勉強ははっきり言って苦手だし、嫌いだ…。
机に向き合っている名無しさんの隣にアイズは立ち、同じようにノートを見つめていた。
何も監視しなくてもいいのにと思う。
まあ、勉強を教えてと言ったのは私だから文句を言える立場ではないけれど…。
それにしても英語は分からない
ばんっ・・!
勉強開始から30分、彼女はついに机を叩いた。
耳障りな音がアイズの耳に届く。
「なんで世の中には英語なんてあるの
日本人なら日本語使えば済むわよ!」
すでにテスト1週間前だというのにその投げ出した名無しさんの態度に彼は「俺も一応日本人だぞ」と呆れつつ云う。
「だけど、アイズはクォーターで本場に住んでたじゃない。
私は生粋の日本人なんですよー」
少し嫌みを込めた彼女の言葉にアイズはいきなり不敵な笑みを浮かべ、綺麗な発音で英語を並べた。
『なら、今から本場気分で味わうか?』
言った意味はもちろん分からないが、私はむっとほほをふくらませた。
言葉は分からなくても、インスピレーションが人類には存在するのだ。
ああ、恋人が相手というのに、なんて酷い奴だ。
悔しいからもう一度、問題に向かって説いてみようと試みた。
難しいけれど、ひとつひとつ解いていく。
「それでいい。」
一つの文章が出来終わった後、アイズはそう言って私に不敵な笑みを向けた。
どうやら私は彼にのせられてしまったらしい。
「少しの間、見てやる。」
アイズは綺麗な微笑をした。
ああ、こんな所があるから、彼をどうしようもなく好きになってしまうんだろうなと思う。
冷たいかと思うと私にかなり甘いし優しい…。
「ニヤけてないで手を動かせ。」
「って、顔に出てた!?」
「出まくりだ、いいから早く続けろ。」
容赦ない言い様に押されながら、
手を動かしうなりながら問題を解く。
解く途中、そんな問題文に含まれた彼の名前に少しだけほほえみ、やっぱり綺麗な名前だなと思った。
eyes
英文にアイズの文字!