命のナマエ

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ここにホビットという小人を紹介しよう。


彼らは温厚で陽気な性格で、
耕された大地を愛し、昔ながらの暮らしを好む者たちである。

普段表に出ることの無い彼らを知る者は少ない。

その一族の中だけで日々繰り返される穏やかな生活。

それが本来あるべき幸せなのかもしれない。





01 cogwheel
-歯車-



ホビット庄暦 3016年9月24日


「あれから14年かぁ・・・」


こげ茶色のくるりとした巻き毛髪に青の瞳をしたホビットが呟く。


彼の名はフロド・バギンズ。

大きな木に背中を預けながら青い空を仰いだ。
放り出された足からは、柔らかい草の感覚が心地よい。



14年前、大好きだった叔父のビルボが姿を消した。
その時、譲り受けた魔法の指輪。

魔法使いのガンダルフは、それがとてもやっかいで恐ろしい物だと知っていたようだった。

けれど、詳しいことは何も言わず指輪を隠すように告げると、すぐさま此処を旅立ってしまった。
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