命のナマエ
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入り口に入ろうとした瞬間、ざわりとした悪寒が襲う。
「うわぁぁっ!?」
フロドの悲鳴が響いた瞬間、
ハレンは瞬時に振り向いて、短剣できりつける。
フロドの足をつかんでいた
ぬるぬるした触手はあばれながら、離れていく。
身の安全第一で、彼の背中をどんと押して、
前にいるボロミアたちやガンダルフのほうに倒れこむように押しやった。
「ハレン!」
レゴラスが駈け寄ってきて、弓矢で応戦する。
「此処は私にまかせて、中に入るんだ!」
肩に手をおかれてハレンは頷いた。
うねうねとした触手に追いやられ、旅の仲間は中へと急いだ。
ハレンもホビットに続き、階段を駆け上がった頃、
沢山の触手がちょうど扉を掴んでいた。
「レゴラス、扉がっ!!」
とっさに彼は矢を放ったけれど、既に時遅し。
けたたしく石が崩れていく音がして、
扉は完全に閉められ、光が遮断された。
あまりに急な出来事で皆、呆然とするしかなかった。
「やれやれ、今度は背後の道が塞がれてしまった。
出口は一つしかない―――山の、反対側にしか。 」
ガンダルフが重く口を開き、坑道(モリア)のまっくらな旅が幕を開けたのであった。
18 Moria-カザド=ドゥム-